本日は、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)の主催する事業承継シンポジウムに、専門家相談員として参加してきました。
日弁連の遺言信託プロジェクトチームの委員に入っている関係で(ただし、最近は多忙でなかなか顔を出せておらず、浦島太郎状態(^^;)、関連のある中小企業PTの委員弁護士とペアを組んで、何組かが専門家相談員として当日、ブースに待機することになっていたものです。
団塊の世代がリタイアの時期を迎えつつある中で、中小企業のオーナー経営者の事業承継の問題もクローズアップされており、中小機構もなかなか力を入れているようです。経営者の側も、関心は高く、当日700人規模の参加があったと聞きました。従って、個別相談の方も大盛況………といけばよいのですが、残念ながら、そこまでは盛り上がらず、相談件数は約20組程度だったようです。私は、運営者側の指示で、「飛び込み相談」に対応せよ、とのことで、本来ペアを組んだはずの相方と引きはがされ、予備ブースで待機していたのですが、ついに予備ブースを利用する状況に至らなかったらしく、一人も相談案件が来ないまま終わってしまいました(おいおい)。
ま、何となく想像は付きます。皆様、一般的関心事としては結構興味があるんだけれど、自分の会社の内情をさらけだして相談するところまでせっぱ詰まっているかというと、そこまでの状況ではない。まだまだ自分一人でなんとかできるように考えている。そんな感じでしょうか。
しかし、弁護士という職業柄、「事業承継」に失敗してしまった紛争にぶち当たることは枚挙にいとまがありません。うまくやっているつもりでも、後継者、がからむと途端におかしくなることはままあります。息子兄弟を天秤にかけて、亡くなる間際まで後継者を明確に定めなかったため、亡くなられた後で、息子兄弟が骨肉の争いを演じる10年戦争になっている例、後継者と定めた子に、亡くなる間際で裏切られ、遺言で全てちゃぶ台をひっくり返そうとしたが、かえって残された遺族の紛争を激化させてしまった例。
もちろん、弁護士ですから、紛争の渦中に入っていって火中の栗を拾うのも仕事です。でも、予め紛争を未然に防ぐことができれば、その方がいいに決まってます。
事業承継のモデルケースなどは、中小機構の資料などにも詳しく載っていますので、繰り返しませんが、理想的には5年、10年かけて行う「計画的」承継です。しかし、物事は何でも計画通りに進むわけではありません。最たるものが、計画途上で、肝心の経営者が不慮の事故や病気で亡くなられてしまうことです。そうなっては意味がないから、計画なんて立てたって絵に描いた餅?でも、計画を立て始めなければ、無事承継できる可能性も、日に日に少なくなっていくわけです。体力や健康、自分の決断力に自身があるうちに、計画を立て始めることが肝要でしょう。
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