昨日の続きです。
司法修習生の就職難は、数の推移を見れば、至極自然に生じたもののように見えます。
司法研修所を卒業する司法修習生のうち、裁判官・検察官に任官する者や、ごく少数ながら弁護士登録をせずに学者等になる方を除いた残りは、弁護士登録を希望します。弁護士登録といっても、もともと何らかのキャリアや人脈を持っていて、いきなり開業するだけの地盤のある方以外は既存の法律事務所等に「就職」です。
司法研修所の卒業生は、かつては500人、私の時(48期)で700人、2001年で1000人、2004年に1200人、2006年に1500人となりました。既に、ここ数年かなりのハイペースでの増加が続いており、新人弁護士の採用市場も徐々に「買い手市場」となっていました。そこに、本年いきなり1年間で2500名です。混乱が生じるのも当たり前です。
年ごとの合格者で見ると、まだ実は年間の合格者は、昨年で旧試験=500人、新試験=1000人で、昨年度の合格者自体は増えていません。本年度が旧試験=300人(予想です)、新試験=1850人で、合計2100人超と、ぐっと増えていくことになります。合格者の激増に先立って、就職市場の混乱が生じたのは、新試験組は、司法修習期間が短く(およそ1年)、前年度の旧試験組と卒業年度がかぶるからです。
どうも、司法改革の名の下に、3000人計画が導入されたころは、司法の需要は青天井で、数年のうちに、企業や官公庁などでの「組織内弁護士」の需要がぐっと増えていくと、弁護士会側が楽観視していた嫌いがあります。しかし、実際は、徐々に増えてはいるものの、日本での組織内弁護士は、いまだ期待された数からは一桁少ない需要しかないようですし、そもそも企業が欲する人材は、一定程度経験を積んだ弁護士であって、新人はお呼びでない場合が多いようです。私としては、少なくとも法曹人口政策に関しては、日弁連は短期的には見通しを大きく誤ったようにしか思えません。
このエントリーのトラックバックURL:
/blog/mt-tb.cgi/148