司法試験に合格して、法律家になるまでの研修期間である司法修習をマネジメントする司法修習委員会を辞めてから、はや1年以上。ロースクール世代の新修習とかも始まって、すっかり浦島太郎だなあと思っていたら、突然知り合いの東京弁護士会事務局のK氏から電話がかかってきました。
聞くと、弁護修習中の修習生で、修習期間が終わりそうなのにまだ当番弁護の経験がない人がいるので、手伝ってくれないかとのこと。指導担当弁護士が当番弁護士に登録していない方だそうで、私の当番が5月31日に予定されていることから、その日に修習生を連れて行ってくれということでした。
うーむ、修習生を連れて行くとなると、刑事弁護センターが気を利かして必ず事件を配点してくれちゃうので、「出動要請が来なかった。ほっ」という事態の可能性がなくなってしまいます。まあしかし、おせわになっているK氏の依頼なので引き受けました。
ところが、その後またK氏から電話があり、「当該修習生に声をかけたら、断られました」ということでした。理由は何と「翌日から見学旅行なので、夜遅くなりたくない」とのことです。夜遅くったって、深夜までやるわけじゃないし、翌朝だって、せいぜい朝8時集合とかその程度だと思われますが…どうみても言い訳でしょうね。
責任が発生しない修習生のうちに、経験できる機会は何でも活用してやろうという修習生の志はどこにいっちゃったんでしょうかね。悲しくなりました。修習生のうちから面倒くさいことを避けて通ろうという態度では、とてもまともな法律家になれるとも思えないのですが。
もっというと、このように修習生のカリキュラム不足の手当を、事務局の方が一人でフォローしているのも疑問です。昔は担当の副委員長や班長、副班長の弁護士あたりが必死になって電話したはずですし、そこまで努力して手当てしたチャンスを上記のようにどぶに捨てるようなやる気のない修習生がいたら、修習委員として雷の一つも落としたような気がしますが。修習委員会の方の後輩に注ぐ情熱も志しも、昔を知るものにとっては物足りない感があります。
このエントリーのトラックバックURL:
/blog/mt-tb.cgi/117