司法修習:落第者が3倍以上増加 最高裁も「原因は不明」 司法試験の合格者が専門知識を学ぶ「司法修習」の卒業試験の落第者が今年は107人に上り、前年の31人から3倍以上増加したことが28日、分かった。落第率も前年の2.6%から7.2%に急増し、いずれも最高裁に記録が残る過去10年で最悪の数字となった。最高裁は「原因は分からない」としているが、法曹関係者からは「司法試験の合格者数を増やしたことで、質が下がっているのでは」との懸念が出ている。
司法修習は、1998年の入所者(主に97年の司法試験合格者)までは2年でしたが、99年の入所者(同98年の合格者)から、合格者増加と引き替えに1年半に短縮されました。その期(53期)の修習生は、修習期間が短くなって教える余裕がなくなった教官の焦りからか、「君たちは出来が悪い」と散々脅され、実際に800人中19人の落第者が出されました(当時としてはこれでも前代未聞の数字でした)。
今回は、旧来型の司法試験の最後から2年目の年で、修習生の数も1500人と限界まで増えています。合格者を増やした結果、一クラスの人数も増え、研修所の教官からは「成績不良者が年々増える」とのぼやきが聞こえていたくらいですので、100人落ちてもある意味、意外性はありません。実際、聞いた話ですが、刑事弁護科目の口述試験で、「黙秘権」という基本的な単語が言えなかった修習生がいるとかいないとか。
最高裁は「原因不明」とか言ってますが、合格者増加→基礎学力低下+研修所のキャパオーバー+修習期間短縮=不合格増加、という因果関係はある意味、明らかだと思いますね。まあ、今回の大量不合格も、法科大学院世代の新司法修習では、もっと大量に落第者を出すぞ(例えば300人とか)という事態の予告なのかも知れません。
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