1月11日の日誌で取り上げたThinkPad X60ですが、その後、日本で発売され、アキバのヨドバシなどで何度も実物をいじくって悩んでいましたが、ついに買いました。
X60の方ではなくて、軽量モデルの方のX60sです。なんでこっちかというと、X60の底面の醜すぎる出っ張りがどうにも気になったからです(X60の本体は出っ張りがないため、「スリムライン・バッテリー」と組み合わせればフラットな底面になる)。
実はここまで購入がずれ込んだのは、ネット上で、X60のパームレスト右側が熱くなるという現象が報告されていて、実際ヨドバシの店頭にあるデモ機でも相当な熱さが感じられたことから、メーカーから何らかの対応があるのではないかと期待していたのですが、特に公式な対応はないままでしたので、業を煮やして買ってしまいました。
幸いというか、個体差があるようで、私の手元に来た筐体はそれほど熱さを感じません。
またこれからX30の環境移行にしばらく時間が掛かりそうです。
事務所紹介のページに「事務所沿革」を追加しました。
今月号の「自由と正義」(日弁連の機関誌ですね。現在私は日弁連理事の抱き合わせ業務でこの編集委員にもされています)の特集は、何と「大規模法律事務所の現状と将来」というものでした。なかなか興味深く読ませていただきました。
私が弁護士登録をしたころは、「日本の法律事務所は100人以上にはならない。なったとしてもすぐに分裂する」という定説?がありました。曰く、日本の弁護士は、良く言えば独立自主の気風が強く、悪く言えば協調性がないため、事務所の規模としては100人が限界だというものです。
ところが現在では、200名を超える事務所が3つもあります。まあ、数千人規模の法律事務所も存在するアメリカに比べれば、それでも小さいものでしょうが、わずか10年のうちに時代は変わるものです。
事務所の大型化や合併が進む理由として、記事中で異口同音に述べられていたのは、「この10年で日本企業でも法律事務所に要求する内容が変わり、マンパワーがないと対応できない大型案件が増えた」ということです。確かに大型倒産・再生案件やM&A案件の急増によって、法律事務所の関与が強まったことは事実でしょう。
こうした社会情勢の変化による法律事務所の大型化は否定はしませんが、一つだけ心配なのは、弁護士としての意識の乖離です。今回「自由と正義」に登場したレベルの経営者格の弁護士は、我々零細事務所の弁護士と相容れないほど感覚に違いがあるとは思いませんが、こうした大型化事務所に最近入所した新人、そしてこれから入っていく新人はどうでしょうか。何となく、大企業に就職する意識しかない、従来の弁護士の意識とは似ても似つかない意識の持ち主が増えるように危惧されます。
もう一つ困るのは、最近の大規模事務所は、新人を大量に採用しますが、当然ながら全員をパートナーにするわけでもなく、新人の半分以上は、どこかであぶれて放り出される運命にある点です。採用した人材をじっくり大事に育てようと言う観点が薄くなっている嫌いがあります(これは日本企業全体の傾向かも知れませんね)。育てられずに放り出された人材はどうなるか?零細事務所でやっていくノウハウが全くないまま、大事務所から放り出された中途半端なキャリアの弁護士を受け入れる受け皿がないと、将来禍根を残しそうな気がします。
4月も実質的には記事3つくらい。うーむ、何とかしなきゃ。。。
検事取り調べを録画 東京地検で試行 裁判員制度に対応
最高検察庁は、「密室のやりとり」だった検事による取り調べの一部を、ビデオで録画・録音する方針を固めた。犯行の自白などの供述が強制されていないかどうかの判定で公判が長引くケースがある中、09年5月までにスタートする裁判員制度の対象事件で迅速な審理を行うのが狙い。日本の刑事司法史上、初の取り組みとなる。
日本の刑事司法は、長い間捜査機関が密室の取り調べの中で得た「自白」調書を頼りに行われてきました。しかし、これが自白偏重の捜査につながり、冤罪の温床になってきたことは明白です。
実際の刑事裁判では、こうした供述調書が被告人の「任意」に作成されたものかどうかが、しばしば争いになります。しかし、取り調べの状況自体について客観的な証拠がない以上、「強圧的かつ過酷な取り調べで自白を強要された」とする被告人側と、そんなことはないとする検察側の水掛け論の応酬に終わることがほとんどで、結局のところ、裁判所は「供述の内容が迫真性がある」などの曖昧な理由で供述調書の証拠能力を判断することになりかねません。
しかし、裁判員制度の下では、こうした供述調書の証拠能力を巡る不毛な争いをしていては、裁判自体の長期化も必至であり、最近では裁判所も取り調べ過程の録音・録画等の「可視化」が必要との見解に傾いていました(弁護士会が従来からこういう主張を行ってきたのは当然です)。
法務省・検察庁はこれに対し、頑強に反対してきました。その最大の理由は真実の解明を阻害するというものです。
取り調べの可視化が真実の解明を阻害するという理屈は「被疑者が取り調べ担当官を信頼して初めて自白を獲得できる→取り調べを録画などしたら、信頼関係は保てない」という発想に基づいています。鬼平と密偵粂八の関係ですね。あるいはカツ丼の出前を取って被疑者が落ちるという決まりパターンのイメージとも言えます。
私も日本人ですから、ドラマとして、こうしたメンタリティが理解できないわけではありません。しかし、粂八の「自白」は、いつが期限ともわからず、留置場に何ヶ月もとどめ置かれた末の「自白」です。もとより現在の刑事訴訟法上は許されないような人権侵害の状態に置かれた後に、鬼平にちょっと優しい言葉をかけられてほだされた、という皮肉な見方もできます。
「カツ丼」にしたって、カツ丼一杯でがっくりほだされてしまうということは、そのような状態まで被疑者が精神的に追いつめられていることの表れです。そこまで極限的に被疑者を追いつめて、得られた自白が「信頼関係の賜物」と言えるでしょうか?常に真実の自白という担保があるでしょうか?
さて、遂に法務省・検察庁も、100%の抵抗はあきらめて、可視化の一部試行に応じることとしたようです。しかし、「可視化」は、捜査の全課程を記録しなければ、証拠としての価値はあまりありません。検察庁は、現実の調書を作成する過程や署名の過程のみを記録することを考えているようで、しかも警察官による調書は除外するつもりらしいですが、冤罪の原因となる取り調べは、多くの場合警察の捜査段階に端を発しているのであって、これでは意味がないでしょう。
しかし、いずれにせよ、今回の試行は「蟻の一穴」ともいえるもので、密室の取り調べの伝統を打ち崩していく第一歩になることは間違いないでしょう。
本日、嫁さんが「あいのり」を見ていたら、新キャラ、自称「司法修習生」が登場。
………でも、修習中に「あいのり」出演で休職なんてできるわけないじゃん?司法試験合格後、修習前の状態で参加してるのかな?でも、そうだとしたら身分詐称では?
弁護士キャラは結構テレビに出ていますが、ついに修習生キャラまでテレビネタの時代ですかね。
本日から遂に新会社法が施行になりますね。
かつての商法は、法制審議会での商法学者の立場が非常に強く、かなり体系だった法律でしたが、不況対策とグローバル化の影響から、産業界の要望がダイレクトに反映される傾向が強くなり、今回の新会社法に至っては、かつての体系とは相当異なるものになってしまいました。
よく言えば制度設計の選択肢が増えて、使い勝手がよくなったとも言えますが、「標準」がなくなったに等しいので、なんだか得体の知れない法律になってしまった感もあります。それに、従前と異なり「施行規則」に定められる部分があまりに多く、「木」は見えても「森」は見えにくい法律になったなあ、というのが旧商法で司法試験に合格した世代の感想です。
改正法施行前は、新会社法の内容解説が商売にされていましたが、今後は既存会社の「定款」変更がビジネスになるのですかね。私としては、個人情報保護法のようにしばらくは混乱が続くような気がするので、少なくともワンシーズンは様子見でかまわないように思いますが。