弁護士 豊崎寿昌

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下段の廃止

2006年01月06日

下段の廃止

ふと、岡口裁判官のHPを見ていたら、

「司法研修所の伝統的な起案形式であった上下段(又は左右段)による答案が,昨年限りとなった」

とありました。

そうだったんだ!

この「上下段」による起案は、司法研修所の民事裁判科目での民事判決起案の際に必ず要求されていたものです。私の頃ですと、まだ起案用紙は縦書きの罫紙でしたので、その真ん中に横線を引っ張って、自分で起案要旨を上下二段に分割して起案していました(その後、裁判文書の横書き化に伴って、起案要旨も横書きになったため、「上下段」は「左右段」に変わりましたが)。

で、上下段に分けて何をするのかというと、上段には、判決書の文書を起案し、下段に自分で上段の記載に対する注釈を入れていくわけです。これは、特に判決の前提となる「裁判所が認定した事実」の摘示について、法律の要件を踏まえた事実摘示=要件事実の摘示ができているかどうかをプレゼンさせていたわけですね。

こういう伝統的なスタイルがなくなっちゃう背景としては、間違いなく司法試験合格者→司法修習生の増加により、研修所の教官が、そこまで細かい添削指導をやってられないという事情があるわけですが、合格者の数が増えるのに対応して教育が杜撰になっていくのでは、単に法曹を粗製濫造していくことにつながりかねないので、かなり疑問な方向性です。

もっとも、この上下段の記載自体については、私自身は修習生時代から、あまり意味を感じていなかったので、まあなくてもいいかな、とは思いますが。

日時 :
2006年01月06日 23:08
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(とよさき としあき)

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  • 東京弁護士会所属
  • 由岐・豊崎・榎本法律事務所(東京・八丁堀1丁目)パートナー

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