マンション等の耐震強度偽装事件、最大の問題は、偽造した構造計算書を見逃した民間検査機関にあります。もっと言えば、建築確認や完成検査を行う対象である施主側から手数料をもらって、どこまでその施主側に厳しい検査ができるか、というジレンマが民間検査機関にはあります。ここら辺は、監査費用をもらう当事者に対して監査でうるさいことを言わなければならない監査法人の制度と構図は似ています。建築確認等の検査業務を民間ができるようにした法改正が正しかったのかどうか、政策論としては再検討が必要でしょう。
しかし、実際に被害に遭ってしまった入居者としては、そんなことは言っていられないのも事実で、現行法上はとりあえず、売り主に瑕疵担保責任を追及し、修補困難であれば契約の解除を行って売買代金の返還を求めるのが筋だと思われます。
ところが、
耐震強度偽造マンション、ヒューザーは買い戻し応じず
震度5強で倒壊する恐れがあるとされた完成済みマンション13棟のうち7棟を発注した中堅マンション販売ヒューザーの小嶋進(おじま・すすむ)社長は22日、国土交通省で記者会見し「7棟の建て替えには約50億円かかり、資金援助がなければ不可能」と述べた。約150億円必要な買い戻しには応じない考え。
応じないと言っても法律上の責任なんですけれどもねえ。「一級建築士による犯罪行為を検査機関も見逃した。瑕疵(かし)担保責任をすべて負うのはおかしい」という主張もしているようですが、それは内部分担の問題であって、販売会社自体が支払わない根拠にはなり得ないものです。八方ふさがりの状況なのはわかりますが、こういう状況で、法的に全く通らない主張を繰り広げるのもかなり見苦しい気がしますが。
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トラックバック時刻: 2005年11月27日 15:54
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