なんか、すごい不遜なタイトルになっちゃいましたが、実際最近刑事事件で、敬意を持ってコメントできる検察官になかなかお目にかかれなかったので。
特にいやなのが、捜査段階で、こちらが示談交渉をしようとする際の検察官の態度です。
例えば行きずりの痴漢や恐喝の事件ですと、捜査段階で被疑者側が被害者の連絡先を知っているわけはなく、示談を試みる弁護人としては、まずは捜査機関(=検察官)に、被害者の連絡先を教えてくれるよう依頼することになります。
昔などは、二つ返事で教えてもらえた時代もあったそうですが、個人情報保護、被害者保護が叫ばれるこの時代には、そうは簡単にはいきません。検察官からは「被害者に意向を確認して、教えていいということでしたら教えます」と返事をされます。まあここまでは仕方がありません。
しかし、ここから先、被害者との示談交渉を露骨に嫌がる検察官もいるから困りものです。例えば被害者の意向確認をするのを故意に遅らせ、次回の被害者からの事情聴取の日まで行わないという態度に出る検察官もいましたし、私が初回の示談交渉で話が付かなかったとき、被害者に検察官自ら電話をかけて、示談に至らなかった経緯を根掘り葉掘り聞き、あろうことか私に対し「被害者から私に苦情の電話が来た」などと虚偽の事実を伝えてきた検察官までいました。
どうもこのタイプの検察官は、弁護人は何でもかんでも敵、という観念なのでしょうか、刑事手続きはさておき、示談の成立により、被害者が民事的に被害の回復を受けられることは、被害者保護に資することはあっても、マイナスにはならないと思うのですが。
ところで、今回の当番弁護で受任した事件の検察官、かなり迅速に被害者に示談の意向確認をしてくれたばかりか、わざわざ検察官から示談の進捗状況を私宛に問い合わせてきたりし、本日無事私が示談書と告訴取り下げ書を持参した際には「どうもご苦労様でした」とのお言葉までいただきました。
立場の違いを超えて、お互いの職務に敬意を持つこのような検察官であれば、刑事司法についても問題は少なくなるのではないでしょうか。