法科大学院の卒業を前提としない(誰でも受験できる)現行司法試験の、事実上最後の年とも言える本年度試験の結果が発表されました。
本年度の合格率は3.71%で、過去10年間で最高だそうです。合格者枠が1500人に増えているのに対し、受験者数は昨年より微減になっているからです。若手が現行試験に見切りをつけて、法科大学院受験を選択したからであろうと思われます。
しかし、実はこの合格率の数字、過去10年以上にさかのぼると、「最高」ではありません。実は、平成5年度に、合格率4.02%というすごい年がありました。この年は、受験回数3回以内の「若手合格者」を優遇するための、いわゆる「丙案」という奇妙奇天烈な制度が導入されるための、受験回数のカウントダウン開始の年でした。従って、合格する自信のない初学者が一斉に受験を差し控えたため、受験者数が大幅に落ち込み、結果としての「合格率」が上昇するという副作用を生んだわけです(実は私は、この「広き門」の年の合格者です(^^;)。
若手が現行試験から離れた結果、合格者の平均年齢は、29歳と過去最高水準まで上がり、そして女性の割合も下がりました(女性は若いうちに合格するのか、それともあきらめがはやいのでしょうかね?)。
来年度は、法科大学院卒業者向けの新試験の合格者が900~1100人、現行試験の合格者はぐっと減って500人程度と伝えられています。もう流れが決まってしまった後では何を言っても仕方ありませんが、制度の谷間で翻弄される受験生の方には同情します。
友達や、友達の友達が今年合格しました。苦労の末の合格はとても喜ばしいことですが、今から2年後の就職の厳しさを考えると、他人ながら心配してしまいます。
新司法試験では毎年2000~3000人規模の合格者が出るそうですね。日弁連HPによれば、今年11月1日現在、東京弁護士会の会員数が4854、第一東京弁護士会の会員数が2896、第二東京弁護士会の会員数が2961、大阪弁護士会の会員数が2978とあります。
新司法試験の合格者全員が研修所を出てすぐに弁護士登録する訳ではないですが、毎年、上記の弁護士会の現在の会員数程度の弁護士が誕生していく訳ですから、これから合格される皆さんはますます就職が大変なのでしょうね。
ともあれ、受験生の皆さんには頑張って欲しいものです。
投稿者 おおにしこうじ@大阪大学大学院 : 2005年11月17日 22:56