私が司法修習委員を始めて早6年も経ってしまいましたが、6年目にして初めて模擬裁判の裁判官役をやることになりました。これまでは代理人顧問役や証人役ばかりだったのですね。
裁判官役は、顧問役や証人役のように、修習生たちと事前に打ち合わせをするわけではありませんから、飲みに連れて行っておごらなければならないという経済的負担はあまり発生しません。でも、打ち合わせをしないと、個々の修習生の顔が見えませんので、多少淋しくはあります。
そんなわけで、本日は、本番の証人尋問の前に争点整理をする模擬弁論準備期日です。過去の日誌にも書いたように、代理人顧問の時には、裁判官役の弁護士の気まぐれな訴訟指揮に泣かされ続けてきました。今回は、積年の恨みを晴らすまたとないチャンスです。というわけで、思い切り強権的かつ頑迷な裁判官役を演じようと心に決めて、期日に臨みました………というのは冗談で、さくっと1時間以内に終わらして帰るつもりだったのです。本当です。
しかし、予想外に、裁判所がちょっと求釈明をすると、修習生が立ち往生してしまい、仕方なく何度か休憩を入れ、その間に結論を出してもらったりしましたので、なんだかんだ言って1時間40分くらいかかってしまいました。いやあ、やっぱり模擬裁判というのは、やってみないと何が起こるかわかりませんねえ。
本日から我が事務所に、法科大学院の学生さんがお二人、短期間の研修に来られました。
この研修、大学生の実地研修をインターンシップというのと対照して、エクスターンシップとか言うそうです。中身的には、現在の司法修習生の行う実務修習を、もう少し理論面に引き寄せたようなものが期待されているようです。
とは言っても、とりあえずは事務所での法律相談に入ってもらったり、簡単な起案をやってもらったりすることから始まる点は修習生とあまり変わりありません。
ただ、聞くところによると、このエクスターンシップ、学生への人気はあまりないそうです。それを聞いてびっくりしましたが、理由の一つは、「そんな暇があるなら司法試験の勉強をしたい!」ということらしい。確かに、法科大学院の生徒としては、試験に受からなくては何もなりませんから、気持ちに余裕がないのでしょう。しかし、もう一つの理由は、事務所によっては、エクスターンに訪れた学生に対し、延々と講義のようなカリキュラムを組むだけのところもあるからだとか。
我が事務所は小規模ですから、学生のためにそんな特別のカリキュラムなど組めませんが、それよりも弁護士の日常業務につきあってもらって、その中から理論的な面での議論も戦わせられればいいのではないかと思っています。
本日は、休日だというのに、夕方から千葉の内陸の方まで、とある刑事事件の示談交渉に行ってきました。
なぜか私は、刑事事件で示談交渉とくると、千葉方面に縁があるらしく、弁護士になりたての頃は、大雪の日に八千代に行ったこともあり、また5年ほど前には茂原に何度も通ったこともあります。しかし、ローカルさという点では今回が一番でした。久々に首都圏の無人駅に降りたってしまいました。
地方の方には別に珍しくもないでしょうが、suica+自動改札が当たり前の生活をしていると、いきなり無人駅に降り立つとなかなかびびるものがあります。そこはJR、無人駅でもポストみたいな形のsuicaの簡易検札機は設置されていましたが、帰りに見ると、夜になるとこの駅では切符の自販機すらシャッターが降りてしまい、suica以外の乗客は「乗車駅証明書」発行機のボタンを押して、降りる駅で清算することになるようです。
自宅を出るときは午後4時、帰ってくると午後10時半。夕食は千葉駅の構内のトンカツ屋でした。
サイト開設の最初の頃は、近郊でも出張に行くたびに日誌に書いていましたが、最近はあまり感慨もなくなり書かないようになりました。
しかし、千葉とか浦和とか八王子とか、意外と近いように思える近郊の裁判所への出張でも必ず1時間以上は時間が掛かり、それなりにしんどいものです。実は小田原支部とかの方が、新幹線だと35分くらいでついてしまうため、楽だったりします。
横浜も、千葉や浦和に比べたらやや近いとは言えますが、それでもドアtoドアで1時間では着きません。この横浜出張が、昨日、本日、そして月曜日と、なぜか3連ちゃんで続いています。
実はこれらの事件、元を正せば一つの事件で、一つが離婚の訴訟、二つ目が婚姻費用の分担請求の審判、三つ目が子供に対する面接交渉の調停です。離婚を巡る紛争がこじれると、事件が二つにも三つにも増えてしまうわけです。
昨日などは、台風で、裁判所を出てから駅に歩いている途中、まさに滝のように雨が落ちてきて、しかもビル風で横殴りの豪雨となり、数秒の間にスーツの膝から下は絞れるほどぐしょぬれとなってしまいました。もちろん靴の中は沼に足を突っ込んでいるような感触です。
仕方なく、事務所に帰る途中のコンビニで靴下を買い、事務所では靴を干していましたが、帰る段になってもまだ湿っていて、気持ち悪いことこの上ない状態でした。
本日、今週金曜日に債権者集会のある、私が管財人を務める破産事件について、裁判所に事前の報告書をファクスしたところ、裁判官からお電話が。
電話自体はいつも確認的にあるものですので、今日もそうかと思って電話に出ましたが、予想外のお達しがありました。
「実は、旧破産法時代の管財事件は今後、特定管財係(K係)に移しますので、次回から係が変わります。この次の債権者集会から、法廷でやることになります」
ちょっと説明すると、東京地裁の管財事件の大部分は、かつて「少額管財」事件と呼ばれた、簡易迅速な処理を旨とする小規模な破産事件です。破産事件のうち、特に大規模な処理を要する事件のみが、「特定管財」事件と呼ばれて、K係という別な係で扱われます。「少額管財」事件は、債権者集会も、大会議室を改造して作った大部屋で、いくつもブースを囲んで同時進行で行われますが、「特定管財」事件は、昔の原則通り、法廷を使って行われます。
私のこの事件は、ちょっと処理が長引いている間に、居残り事件となってしまい、移されてしまったようです。処理が長引いた原因は、サラ金会社に過払い請求訴訟を起こしたところ、1社だけ頑強に抵抗されて和解ができず、判決をもらったところ(もちろん当方勝訴ですが)、控訴はおろか、上告までしてくれちゃったため、もう1年半になろうとするのに終わらないんですね~。大事件になってしまいました。
金曜日から本日まで、京都で行われた日本水泳連盟主催の日本泳法大会に役員として出席していました(役員といっても下っ端のぺーぺーですが)。
中学の頃から日本泳法の世界にいる関係で、初めてこの大会に選手として出席したのが高校1年、16歳の時で、以来、30歳までに選手として8回、31歳からは役員として毎年出席しています。
一昨年までは、伊豆の修善寺のサイクルスポーツセンターのプールが恒例の会場で、宿泊場所は修善寺温泉だったのですが、このプールが老朽化で閉鎖されてしまったために昨年からは京都の新しいプールで開かれています。この大会、全国ネットでニュースになるようなことはほとんどあり得ないマイナーな大会ですが、日本泳法というのは、中高年の方々にはある種の健康法のようなノリで結構人気も高く、最近では毎回参加者が述べ700人にも達するそうです。
実は選手時代よりも、下っ端役員の方が暇なくこき使われて、また夜は飲み会で、目の回るような強行軍で過ごす3日間でした。
新サイト開設約50日で5,000カウンタを達成しました。なぜか前よりアクセス頻度が増えてます(謎)。とりあえず感謝。
本日、業務の関係で口座を開設している銀行の一つであるみずほ銀行のATMに出向いたところ、「9月18日からATMの限度額引き下げ」のお知らせが。
なになに、一般キャッシュカードでは限度額は50万円!!ICでも100万円!だそうで。
これは困りました。仕事柄、数百万円のまとまったお金を事件の相手方や依頼者とやり取りすることはざらですが、今までは500万円までATMで引き出しが可能でしたので、ATMで事足りる場合が多かったのですが、これではほとんどの場合、窓口に出向かないと行けないようです。
しかも、こういう状況にあるのは弁護士に限らないはずで、普通預金で決済を行っている多くの中小事業者の方は、窓口を利用せざるを得ない場合が飛躍的に増えると思いますので、窓口の大混雑が予想されるのですが………どうせ本人確認とやらで、本人じゃないとぶつぶつ言われるんだろうなあ。
偽造&盗難カードの対策の必要性は当然ですが、そのために利便性を大きく損なうのでは、銀行の信頼性が問われます。それともみずほ銀行は、100万円以上の出し入れをするような預金者は要らないと思っているのですかね?
自民党の刺客作戦、毎日新たな候補者が出てきて騒然としてますが、遂に今度はホリエモンですか。。。
ニッポン放送株取得の際には、森前首相から酷評されたはずの堀江さんですが、選挙に出られるとなれば森さんのいる政党からでかまわないのですかねえ。節操がないというか何というか。
他の候補者にしても、小泉首相の論理に従えば、郵政民営化への賛成を示すためだけに担がれる候補者ということになるわけで、仮に当選したとして、郵政法案決着後に自民党内で果たしてどのような待遇が待っているのか全くわかりません。そもそもほとんどの「刺客」さんは、別に前から郵政民営化の論客でも何でもなかった方です。そんなにみんな、選挙に出たいですかねえ。
昨日の地震では、東北地方は大混乱でしたが、首都圏はなんてことなくお盆明けが始まるつもりでおりました(東北地方の方々、他人事気分ですいません)。
ところが、朝10時をすぎても事務所のある弁護士が来ません。
どうしたのかな………と首をかしげていると、事務局の携帯にメールが。
どうやら、まだ新幹線の車内のようです。そう、この同僚弁護士の実家は青森で、朝一番の新幹線で10時前には東京に戻ってくるつもりだったそうなのですが、ご存じ新幹線の混乱で、
10時の段階ではまだ福島県あたりにいたそうです。
最終的に、お昼過ぎに彼女は事務所に到着し、午前中の業務は入っていなかったこともあって、事なきを得ましたが、災害というものによるリスクはやはり推し量れないものです。
金融庁が最高裁判決を受けて、ようやく重い腰を上げたようです。
貸金業に取引履歴の開示義務化 金融庁、拒否は行政処分金融庁は12日、消費者金融など貸金業者に対し、借り手がいくら借りて、どれだけ返したかを記録した「取引履歴」を借り手や代理人に開示することを義務づけると発表した。正当な理由なく拒否した場合は、業務停止を含む行政処分の対象にする。借り手が情報開示を受けないと、借金の現状を正確に把握できず、返済計画の見直しや利息の払い過ぎのチェックが難しいためだ。
これで債務整理における取引履歴開示を巡る不毛な争いがなくなることを期待しますが、また「正当な理由」とかを巡って新たな不毛な論争が勃発するんだろうな………という予感もします。
本日は、早朝の新幹線で岐阜まで打ち合わせに行ってきました。
東海・中部方面の出張は久々でしたが、夏休み中であることと、地球博の期間中という要因が重なって、新幹線の中は家族連れで大盛況。おかげで、というべきか、私の直後の席も小さな子供連れのご家族で、そのお子さんが定期的にものを落としたり、背もたれに体当たりしてくるため、新幹線内で睡眠不足を解消しようと言う目論見はすっかり狂ってしまいました。
では帰りは、というと、これまたなぜか後ろのおっさんが、私が乗り込んだ時点から安らかに寝入っていらっしゃって、そのいびきでやはり眠れず、手持ちのipodで騒音を紛らわせるのが精一杯でした。
何かついていないなあ(^^;
昨日まで、今年最後の館山行で世間から隔絶された世界にいましたが、その間に郵政法案は否決、衆議院は解散されていたようで。
さて、既にけっこう議論されている「参議院で法案が否決されたから、首相が衆議院を解散できるの?」という論点は、実は憲法論上も重大な論点です。
実は、憲法では、「内閣(総理大臣)は、衆議院を解散できる」と正面から定めていません。憲法上、衆議院の解散に言及されているのは以下の2カ所です。
日本国憲法第7条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
三 衆議院を解散すること。
同第69条 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
この二つの条文をどう読むか、かつては結構争われました。
要するに、内閣が衆議院を解散できるのは、憲法69条の場合=内閣不信任案の可決等の場合に限られるかどうか、です。
限定説は、憲法7条は、天皇の行う国事行為の種類を定めただけで、7条を根拠に内閣が解散権を持つわけではない。ほかに衆議院の解散について定めているのは69条だけだから、内閣が衆議院を解散できるのは69条の場合に限られる、と考えます。
一方で、非限定説は、憲法7条は、天皇の国事行為を定めるとともに、内閣が「助言と承認」により、行える事項を定めている。だから69条の場合でなくとも、内閣は憲法7条を根拠に、任意に衆議院を解散できる、と考えます。
この二つの考え方は、その根底に、日本の三権分立をどのような構造のものと考えるか、特に国会と内閣の力関係をどう考えるか、という論者の立場を反映しています。もっとも、政治の実務の世界は、学者の議論をよそに早くから「7条解散」(内閣不信任によらない解散)を実行していましたので、現在では学者の世界もすっかり現実追認で、学会の大勢は非限定説で固まっています。
では、非限定説だから、今回の解散も全く問題がないのか、というと、それはまた別問題ではないかとも思われます。
非限定説も、内閣が、いつでも「思いつきで」衆議院の解散を行えると考えているわけではないでしょう。やはり、内閣不信任に匹敵するような、国政の一大事で国民の信を問うような必要性があることが暗黙の前提であると思われます。内閣が、あまりに恣意的に、たとえば特定の政党、あるいは特定の議員の身分を剥奪するために解散するような事態があるとすれば、それは解散権の濫用と言うべきでしょう。
今回の解散ですが、確かに郵政民営化という、国民の信を問うてもいいようなテーマがあるにはあります。
しかし、衆議院ではこの法案、可決されており、否決されたのは参議院です。衆議院を解散しても、参議院の勢力が変わるわけではありません。
憲法上、参議院で否決された法案を、再度成立させられる「3分の2」の勢力を目指すために、解散するというのなら、それでも筋は通ります。しかし、小泉首相の勝敗ラインは「自公で過半数」だとか。
過半数でいいのなら、現在も自公の郵政法案賛成者は過半数であって、何も選挙で信を問う必然性がありません。ちょっと、この辺のロジックがわたしにはひっかかってなりません。
甲子園出場、せっかく決まったのに、部員のいじめ&喫煙で、出場辞退ですか………
前々から思っていましたが、何か、しっくり来ないものがあります。なぜ、一部部員が不祥事を起こすと、その部全体が出場辞退を強いられるのでしょうか?なぜ、その部員や監督のみに対するペナルティではだめなのでしょうか?
ペナルティというものは、犯した罪に対し、相当で合理的な範囲で課されるからこそ、説得力があるものです。高野連は「高校野球は教育の一環だから」とか何とか理屈をつけているようですが、教育だからどんな連帯責任を負わしてもいいというのは、極めて前時代的な発想でしょう。ルールとフェアプレイの大事さを説くスポーツであれば、ルール違反に対するペナルティも合理的でなければ説得力を持たないで
しょう。
実際、自分は不祥事に関わったわけでもない明徳義塾の部員たちはどう感じるのでしょうか。高校野球というのは、高校3年間しかチャンスがなく、その貴重なチャンスをもぎ取った彼らです。自分が直接犯したわけでもない罪のために、いきなり晴れ舞台への権利を奪われて、納得がいくでしょうか。
これに対しては、「チームなのだから、仲間の不祥事は連帯責任」という反論も聞こえてきそうです。一見、わかりやすそうな理屈です。でも、これを法的に言えば、「部員はチーム内の他の全ての部員に対し、互いに監視・監督義務を負う」と言っているのと同じです。そんなスパイ集団みたいな部活、想像したくもありません。
例えば、相互に監視義務があるとされる株式会社の取締役は、株主総会で選ばれ、会社に対し忠実義務があるからこそ、監視義務が正当化されるのです。部活をやっている部員は、そのスポーツがやりたいからその部に入ってくるのであって、(レギュラーになれるかどうかはともかく)部員になるのにセレクションはありません。また、部活はあくまで本人のためにやるのが第一義であって、本人のためより学校のためを優先できるはずもありません。このような部員が相互に監視義務があるなどと考えることは、余りにも無理です。
事実を内々に処理しようとした監督らは、時代の要請を読み間違えた点で責任を負うことは否めません。しかし、他の部員たちは可哀想だなあ、というのが私の感想です。
してしまいました。
恒例の母校水泳部夏合宿で、23日から断続的に館山に行っていましたので、仕事もズタズタ、blog書いてる場合じゃなくなっていました。
といっても、昨年まではもう少し日誌を書けていましたので、今年は何で手が回らないのでしょう。やはり子育てのプレッシャー?
写真は練習後の恒例のOBのジャンプ写真。一番飛んでいるのが私です(といっても、足を曲げて飛んでるように見せてるだけですが)