DNA鑑定で親子関係不存在、持っているへその緒は一致だとすれば、へその緒がとれるまでの産院入院時期に取り違えがあったという、至極当然の三段論法で、判決は当然でしょう。「あってはならないこと」というコメントも当然。
しかし、問題なのはそれからです。
自分の出自を知りたいというご本人の痛切な願いは察するに余りあります。しかし、そのために他人のプライバシーを犠牲にしてご本人に関係資料を開示すべきか、という点は、ご本人の人権と他人の人権が鋭く衝突する、本当に悩ましい場面といえるでしょう。
この問題、出生届の不受理を巡って問題になっている代理母出産の場面でも発生します。自分の生みの母を知りたいという子供の願いと、必ずしも代理母であることを知られたいとは思っていない代理母の人権のどちらを優先するのか、簡単に答えのでない問題です。
石原都知事のように、後先考えずに勇気だけで行動できるなら簡単なのですがね。