すったもんだの末、法科大学院の初年度卒業生の司法試験合格率は5割程度、ということになりそうです。一時は3割程度という報道が流れて大騒ぎになったので、少しは改善されたのでしょうか。
しかし、結局は合格者総数1600人~2000人程度、という枠内での旧司法試験受験生との枠の奪い合いの構図になっていて、おかげで旧司法試験にまだ望みを託している受験生の来年度は、より狭き門になってしまいました。まだ旧司法試験を受験している知り合いのいる身としては、ちょっと複雑です。
また、5割程度の合格率が見込まれるのは初年度だけで、2年目はすぐに合格率が下がってしまうものと予想されており、かえって不公平のような気もします。
確かに法科大学院側の言うとおり、「司法制度改革審議会最終意見書」第2の2(2)エでは、
「法科大学院では、その課程を修了した者のうち相当程度(例えば約7~8割)の者が新司法試験に合格できるよう、充実した教育を行うべきである」
とありましたので、「合格率8割」が公約と受け止められるような下地はあります。
しかし、一方で、新司法試験開始後の毎年の合格者見込み数は、かなり前から明らかにされていたわけで、これと法科大学院の定員数を見比べれば、「合格率8割」なんていう魔法は絶対に出てこないことは明らかでした(これはここに書いたとおり)。要するに、法科大学院を認可しすぎなんですよ!文科省が。司法試験を管轄する法務省と、法科大学院を管轄する文科省が、需給関係を考えずバラバラに行動している結果がこの矛盾でしょう。