Q8で説明したように、現在、弁護士が「専門分野」「得意分野」を広告するのは禁じられています。「特に関心を持って取り組んでいる分野」とか「取り扱い分野」の表示は認められておりますので、この表示を手がかりに弁護士を捜すことはできるでしょう。
しかし、「取り扱い分野」なんてのは、医者の「専門医」に比べたら、はるかに客観性に欠ける表示であることは否めません。
「その分野の専門家である弁護士でなければ、心配だ」という方も多いかも知れませんが、Q8で述べたように、そもそも日本ではスペシャリストがいる専門分野はそれほど多くありません。
そもそもどんな弁護士といえども、全ての分野に精通しているわけではありません。それなのに「何でも屋」が成り立つのは、1.基本となる法知識を理解していれば、応用により解決できることがほとんどである、2.適切な調査能力さえ持っていれば、その分野の解決方法を見つけることが可能である、という理由によります。
実際、弁護士が弁護士たる所以は、「法律」を知っているからではなく、「問題となる法的解決方法を調査する方法」を知っているからとさえ言えます。
ですから、通常の民事事件で弁護士の専門性を余り心配する必要はないでしょう。むしろ、その弁護士の調査能力のセンスに気をつけるべきです。知らないことを知ったかぶりするのではなく、次回会ったときにきちんと調べて答えを見つけているかを気にすべきでしょう。