よく、初対面の方から「専門分野は何ですか?」と聞かれますが、私はじっくり説明する時間がないときは「何でも屋です」と答えています。
実際問題、日本の弁護士は大多数が「何でも屋」です。
民事専門、刑事専門という程度なら、日本でも「刑事はちょっと苦手で………」という弁護士は結構いますから、「民事専門」弁護士はかなりいる、ということになるでしょう。逆に日本では「刑事専門」は経営が成り立たないため、ほとんどいないと行っても過言ではありません。ですから、「民事専門」と威張ってみたところで、それはその弁護士が「刑事は扱わない」ことを示すに過ぎず、民事事件が得意だと言うことにはなりません。
そんな中でも、専門分野として成立している分野がいくつかはあります。
海外との交渉、契約締結等の業務を中心とした企業法務を専門に扱う事務所は日本でも相当数存在し、「渉外事務所」と呼ばれています。
特許紛争などを専門に扱う事務所は、弁理士と合同で事務所を作っている場合が多く、事務所名が「特許法律事務所」などとなっているので、比較的容易に判別できます。
これは保険会社の顧問弁護士となって加害者側の代理人ばかりをやる場合と被害者側の代理人に特化している場合と2種類あります。
これは破産申立に特化しているのではなく、大型の破産管財事件や会社更生事件等を一手に引き受けるタイプの事務所です。
その他の分野は、現状では弁護士の「得意分野」となる場合はあるでしょうが、現状ではその一分野だけで経営していけるほどの依頼が集まらないため、専門弁護士として特化するには至っていないようです。また、医者と異なり弁護士には専門認定制度がないため、「専門分野」「得意分野」というのは、現在広告で表示が認められていません。
また、上記の分野でも、専門的な事務所にいなくてもその分野にある程度通じている弁護士は少なくありません。例えば私も知的財産権事件を扱ったりしています。