正月明け早々、法律家にとっては悲しいニュース。
修習生の不祥事もこれまではかなり守ってもらえて、表沙汰にならずにすむことが多かったですが、今流行の(?)性犯罪がらみでは立件もやむを得ないところでしょうか。
それはさておき、私が気になるのは、この事件での逮捕の被疑罪名が「住居侵入罪」ということ。裁判修習中の司法修習生は、裁判所に立ち入る権限は与えられているはずです。まあ、一つの建物の内部でも、立ち入ることができる場所とできない場所はありますから、理論上は住居侵入罪が成立することはあり得ますが、けっこうきわどい事例ですよね。
捜査当局によれば、修習生は被疑事実を認めていると言うことですから、最初から軽犯罪法違反で立件すればいいのに、何かこれも別件逮捕の手法を安易に活用しているように思えてなりません。
*その後、この事件は処分保留で釈放になってしまいました。検察庁が立件を断念するような証拠の不十分さがあったのかもしれません。「推定無罪」を唱えながら、裁判所が捜査に協力するくらいだから確実なんだろうな、と甘く考えて有罪を前提としたかのような記述をしてしまいました。反省。
本来別の範疇の事件を、住居侵入罪で強引に立件してしまう手法は、昨年無罪判決が出た、立川自衛隊監視テント村の自衛隊官舎ビラ配り事件で厳しく指弾されたのに、捜査機関はこの手法に味をしめてしまったらしく、松戸のマンションでの共産党のビラ配り事件で同じ手法を繰り返しました(この事件に対しては、マスコミの論調がなぜかトーンダウンしてしまうことのおかしさはこのコラムが正鵠を得ているでしょう)。
今回の事件では、別段表現の自由が絡んでいるわけでもないですが、捜査機関が新たな別件逮捕の手法を活用してしまった点では共通しているように思えます。このような手法での「逮捕状」を易々と発布する裁判官がいる限り、日本の「令状主義」は暗いですね。