信販業界が顧客の個人情報をサラ金業界に解放するそうです。
これまで、特定個人がどこでいくら借りているかはサラ金会社はサラ金のみ、信販会社は信販のみしかわかりませんでしたが、この情報が共有されることになります。
日経新聞はこの動きに対して「業界の枠を超えた情報交流が進めば、個人破産の増加にも歯止めがかかりそうだ」などと好意的なコメントを付していますが、全く的はずれではないかと思います。
個人破産に至る人の相談に乗っていると、多くはサラ金の貸し出し競争とも言うべき営業に乗ってしまって身を滅ぼしているのです。サラ金は、とにかく新規の顧客に対してはいい顔をします。そして一度借り入れを行うと、営業ノルマ達成のため、本人の意向とは関係なく勝手に「30万円」「50万円」と言う貸出枠を設定して、本人にその気がなくとも「あと10万円なら貸せますよ。借りませんか」という営業をかけるのです。そして借りて一定期間利息を払い続けると、これまた勝手に貸出枠を広げ(これは信販も一緒)「もっと借りられますよ」と誘うわけです。
サラ金会社の過当競争から来る、このような営業実態が変わらなければ、いくら個人情報が共有されても過剰貸付が是正されるとは思えません。それよりも、債務者の方が契約時に承諾していた範囲以上に個人情報が流れることは立派な契約違反でしょう。武富士はこの理由から、信販会社との情報共有に反対していたはずでしたが、その後どうなったのでしょうか。