小泉首相の靖国神社参拝について、違憲の判断を求める訴訟が提起されたのに対し、小泉首相が「世の中おかしな人がいるものだ」旨逆切れ(?)発言をしたとか。
裁判の内容については報道は不正確なことが多いので、今一よく分かりませんが、違憲の確認と慰謝料請求を求めているそうで、どちらも法律論としては結構苦しい(訴訟要件を満たすかどうか微妙)訴訟ではあります。
それはさておき、小泉首相の前記発言はいくら何でもどうでしょうか?憲法20条3項(政教分離条項)にはこのようにはっきりと書いてあるのです。
「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」
靖国神社は国家神道の本拠です。国家神道は宗教です。首相は行政権の主体たる内閣の主張たる国家機関です。素直に考える限り、内閣総理大臣の靖国神社参拝は、国家機関の宗教的活動でしょう。そうでないという結論を導く法解釈の方が、そうであるという結論より何倍も難しいのではないでしょうか?例え小泉首相が「靖国参拝は違憲ではない」という確信を持っていたとしても、反論はいくらでもあり得る立場でしょう。逆切れしている場面ではないと思いますが。
森前総理は「神の国」発言で大ブーイングを食らいましたが、今回の小泉発言から見る限り、小泉首相もあまり対した憲法感覚は持ってないようです。
「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し養護する義務を負う」(憲法99条)
この条文、知ってますか?
さて、明日よりしばらく日本にいなくなりますのでしばしお休みさせていただきます
信販業界が顧客の個人情報をサラ金業界に解放するそうです。
これまで、特定個人がどこでいくら借りているかはサラ金会社はサラ金のみ、信販会社は信販のみしかわかりませんでしたが、この情報が共有されることになります。
日経新聞はこの動きに対して「業界の枠を超えた情報交流が進めば、個人破産の増加にも歯止めがかかりそうだ」などと好意的なコメントを付していますが、全く的はずれではないかと思います。
個人破産に至る人の相談に乗っていると、多くはサラ金の貸し出し競争とも言うべき営業に乗ってしまって身を滅ぼしているのです。サラ金は、とにかく新規の顧客に対してはいい顔をします。そして一度借り入れを行うと、営業ノルマ達成のため、本人の意向とは関係なく勝手に「30万円」「50万円」と言う貸出枠を設定して、本人にその気がなくとも「あと10万円なら貸せますよ。借りませんか」という営業をかけるのです。そして借りて一定期間利息を払い続けると、これまた勝手に貸出枠を広げ(これは信販も一緒)「もっと借りられますよ」と誘うわけです。
サラ金会社の過当競争から来る、このような営業実態が変わらなければ、いくら個人情報が共有されても過剰貸付が是正されるとは思えません。それよりも、債務者の方が契約時に承諾していた範囲以上に個人情報が流れることは立派な契約違反でしょう。武富士はこの理由から、信販会社との情報共有に反対していたはずでしたが、その後どうなったのでしょうか。