土浦支部の事件がようやく和解で解決しました。
まあ、めでたしめでたしというところですが、この裁判、和解ができずに判決になってしまった場合、私としては非常に困ったことが一つありました。
それは前任者の書記官が作成した証人尋問調書です。
証人尋問調書は、最近までは速記官という専門の担当がいて、尋問を聞きながら速記タイプを打ち込み、調書に起こしていました。
ところが、裁判所は最近、新任の速記官採用を取りやめ、複雑な尋問は業者にテープ起こしを外注し、比較的簡単な尋問は書記官が自らテープを起こして調書にする方針に切り替えてしまいました。
しかし、この書記官調書が問題が多いのです。これは書記官研修所(最高裁が運営)の教育に大きな問題があるからに違いないのですが、とにかくめちゃくちゃな要約を行ってしまうのです。
この件がまさにそうで、私の尋問自体、そう成功した方でもありませんが、それを割り引いてもひどい調書になっていました。
例えばこうです。
問い あなたの言い分は、私が以前にお聞きしてこの陳述書に書きましたね。
答え はい、そうです。
問い その際には、あなたはその時点の記憶ではこれに間違いないと言うことで、この陳述書に署名捺印していただきましたよね。
答え はい、そうです。
問い しかし、今現在になってみるとどうですか。
答え 改めて考えてみると、いくつか記憶違いをしていた点があります。
問い では、その違っていた点を中心に聞いていきます。(以下略)
実際のやりとりではこのような感じだったのが、調書ではこの部分が、
「この陳述書の内容で間違いありません」
とだけ要約されていたのです。
私の驚愕がおわかりいただけるでしょうか?実際の尋問では、陳述書にいくつか訂正があることを確認した上で、訂正部分について質問していったつもりが、調書を見る限り、この証人は「陳述書に間違いはない」と大見得を切りながら、その後で自ら陳述書と違うことを答える自己矛盾の証人になってしまっているのです。
私が裁判所に抗議して訂正を申し入れたのは当然ですが、なぜか現行法では調書の訂正の申し立て権が当事者にないのです。裁判官は「まあ、そうたいした違いでもないでしょう」などと言って、結局訂正してくれませんでした。和解ができたからいいものの、判決になってしまって、控訴審になった場合、この調書が証拠として判断されるわけですから困ったことです。