今朝、裁判所に行く途中で、霞ヶ関の駅から出たところで、「東京の弁護士会を一つにする会」がビラを配っていました。
現在、東京には弁護士会が三つあります。東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会の3つです。
ほかの都道府県は基本的に弁護士会は一つずつです(北海道は地方裁判所が四カ所あるので弁護士会も四つですが)。
なぜ、東京だけ、こんなことになったのか。私が弁護士になるずっと前に三つに分裂していたので、又聞きの世界ですが、最初は東京弁護士会しかなかったものが、方針の対立からまず第一東京弁護士会が分裂し、さらに東京弁護士会から第二東京弁護士会が分裂して現在に至っているそうです。
現在でも弁護士会によって多少の色があり、第一東京弁護士会はいわゆるブルジョワ弁護士が多いようです(大企業の顧問弁護士となっている例が多い)。そのせいかどうかわかりませんが、人権擁護等のプロボノ活動に関しては第一東京弁護士会がもっとも低調な傾向があります。これに対して、東京弁護士会は個人経営の弁護士が多く、そのせいかわかりませんが、プロボノ活動は伝統的に熱心です。
では、残る第二東京弁護士会はどうかというと、体質的には東京弁護士会に近いようですが、東京弁護士会が会員数が多く、意思決定が遅い傾向があるのに対し、第二東京弁護士会はよく言えば意思決定が迅速、悪く言えば新しもの好きです。
とはいえ、東京弁護士会と第二東京弁護士会は比較的仲がよく、足並みも揃いやすいのですが、第一東京弁護士会はよくほかの二つと足並みをそろえず、独自路線を行くことが多いです。例えば、弁護士会館での法律相談にしても、東京弁護士会と第二東京弁護士会は共通の受付カウンターをおくことで合意したのに対し、第一東京弁護士会はあくまで独自路線を主張して別カウンターになってしまいました。
ですから、「市民のために三弁護士会が統合すべき」というのは確かに一理あります。しかしながら、歴史的経緯があるため、簡単にはいかないでしょう。
さらに言えば、東京の弁護士会が三つあるために、相互に競争しあって、新たな弁護士会のサービスを生み出している面もあります。これが統合してしまうと、競争もなくなり、巨大な会員を抱えて意思決定の極度に遅い会ができるだけの恐れもあります。ですから、どちらがよいかは我々でなく、市民の皆さんが考えるべきことでしょう。