「弁護士の頼み方・選び方」Q10で、大事務所と小規模事務所の弁護士を、大病院と町医者になぞらえましたが、その話をもう少し。
日本人は、大病院信仰が強いというか、ちょっとした病気でも大病院に行く、という方が多いようですね。
おかげで大病院はめちゃくちゃ混雑して、本来の大病院でしか扱えないような重大な病気の患者に精力が割けない。
これを防止するという理由から、紹介状がない人がいきなり大病院に診察を受けに行くと、割増料金を取られる制度も導入されていますが、余り抑止効果が上がっていないようです。
気軽に行ける町医者を主治医に持つ方がいいと思うんですけどね。
私は小さいときから結構虚弱だったので、常に近くに主治医が必要でした。現在の主治医は、中学生の時から診てもらっている医者なので、もう私の体質から何から全部わかっています。
例えば初見の患者に対しては、医者もあまり強い薬は出せません。風邪であればPL顆粒とか、副作用の可能性の少ない軽い薬を出してお茶を濁し、様子を見る対応が多いでしょう。しかし、虚弱な私はPLなんかで風邪が治った試しがありません。ですから、こりゃだめだ、自分じゃ直らんという場合は主治医に言って最初からそれなりの薬を出してもらうことにしています。主治医だからある程度思い切った投薬ができるわけです。
司法修習生の時代、盛岡で修習中に、ひどい腹下しに襲われて、水分すら吸収できないほど消化器官が逝ってしまった時がありました。修習を休んで、やっとの思いで県立病院まで行って、2時間待って診察を受けましたが、検査をされたものの結果は3日後でないとわからないと言われ、当たり障りのない薬しかもらえませんでした。本当は点滴をしてもらいたかったのに。
しかし、家に帰って薬を飲んでも全く効き目はなし。それどころか水分を吸収できないため、尿すら出なくなってきました。このままでは脱水症状か腎臓病になっちまう。思いあまってその夜の新幹線で実家に逃げ帰ってしまいました。翌朝タクシーで主治医のところに行って、事情を話すとすぐに点滴をしてくれました。結局3日連続点滴を受けに行き、1週間かかってようやく快復しました。
まあ、盛岡でも救急車でも呼べば入院させてくれて点滴はしてくれるのでしょうが、入院までは必要なくともある程度ドラスティックな治療が欲しい場合、大病院はなかなか対応してくれないような気がします。
………とまあ、話してきたことを弁護士になぞらえていただければ、私の意図はおわかりかと思いますが。