貸金の利息の上限については、利息制限法という法律により、
・元本が10万円未満は年率20%以内
・10万円以上100万円未満は年率18%以内
・100万円以上は年率15%以内
と定められています。
しかし、現実の多くの消費者金融(サラ金)業者の貸付金利は年率25~29%程度で、利息制限法を上回る利息を平然と取っているのが実情です。
なぜこんなことがまかり通るのか?
実は日本にはもう一つ、貸金業規制法という法律があり、こちらの法律の上限金利は年率29.2%とされているのです(ついこの前までは年率40%でした)。サラ金業者はこちらの法律に従って、一見「合法的」に貸し付けているわけです。
しかし、貸金業法による高金利の利息の請求が許されるためには、
・登録業者であること
・個々の貸し付けの際に所定の事項が記載された書面を毎回交付すること
・個々の返済の度ごとに所定の事項が記載された書面を毎回交付すること
等の条件が揃っていることが必要です。
現在、大手サラ金の貸し付けや返済のほとんどは無人式機械端末で行われており、ここで交付されるレシート類は所定の事項を厳密には記載していないものがほとんどです。
従って、厳密に言うと、ほとんどのサラ金は18%以上の金利を取る条件を満たしていないにもかかわらず、約定の高金利を取っていることになります。
弁護士が債務整理をする場合には、この点に着目し、まず債権者に対し、当初からの全ての取引の開示を求めます。その上で、利息制限法による引き直し計算を行います。
例えば、約定の金利を25%とする債権者のある回の取引で、債務者が1万円を返済したところ、債権者がそのうち
・5000円を25%分の利息として充当し、
・残り5000円を元金の返済として処理していたとします。
この場合、利息制限法上は18%の金利しか認められないわけですから、
・本当に許される利息分は3600円であるはずです。
・つまりこの回の返済では、実は6400円が元金に充当されるべきであるという計算になります。
すると次回の返済時には、利息計算の根拠となる元金残高自体が1400円分減るため、さらに発生利息も減っていきます。つまり、取引が長ければ長いほど、計算上の元金は減っていくのです。仮に5年以上も取引があった場合、かなりの可能性で残高は半分以下になっていると見ていいでしょう。
弁護士はこの計算結果に基づいた残高を基本に債権者と和解交渉をするわけです。