特定調停というのは、従前「債務弁済協定を求める調停」と言う名で運用されていたものが正式に立法化されて、昨年4月から施行されている制度です。簡単に言えば、借金が支払えない人が調停制度を利用して、支払い可能な返済条件の設定を求めるためのものです。
債務者にとっての重要なメリットは、裁判所の調停委員が債権者に対し、ある程度強力に「利息制限法引き直し計算」による元本の事実上のカットを要請してくれることです。
もちろん弁護士から見ると任意整理でも同じようにサラ金業者には引き直し計算を求めているため、敢えて特定調停を求める意味はあまりありませんが、訴訟行為の代理人を行えない司法書士が債務整理の相談を受けた場合に(これ自体問題がないとは言えませんが)、特定調停の本人申立を勧める場合があるようです。
また、立法趣旨からすると、多数の債権者を相手に特定調停を起こした場合、相手方である債権者を一堂に集めて手続を同時進行させることで、債務者の便宜を図ることも考えられているのですが、東京簡易裁判所ではなぜかあまり同時進行を行ってくれず、一債権者一期日を原則にしておりますので、この意味でも弁護士にとっては使いにくい制度です。