『モーニング』に連載されている漫画で、結構な人気を博してTV化までされたものです。
まあ、この漫画に対しては私はずいぶん前から言いたいことがたくさんあるのですが、たまたま今週号でこんなことが書かれていました。
「世間が弁護士の数が足らん言いながらもなんとかまわっとんのは行政書士や司法書士がそれを補なっとる現状があるけんじゃろう」
現状認識としては当たっている部分があるのは否定しません。というより、日本は各官庁がなわばり争いの中で、次々と所轄の資格を作成する傾向がありますので、司法書士も行政書士も税理士もそのためにできてしまったのですね。このような周辺法律資格があったために、弁護士が少数のエリートとして、権威の上にあぐらをかいてきた嫌いがあるのは否めません(とはいえ、カバチタレ!に出てくる弁護士像はひどすぎますが)。
しかしながら、「行政書士や司法書士がそれを補なっとる現状」はあくまで「本来弁護士が解決すべき事案を司法書士や行政書士が扱っている」ことを示しているわけですね。
だからこそ司法改革審議会の答申でも、弁護士をこれから相当なスピードで増やしていくことが目指されているわけで、近い将来こうしたゆがんだ事態は解消に向かうはずです。
その一方で行政書士や司法書士の権限についても拡大が議論されているのは、それまでの応急措置的な意味が強いです。まあ、業務の拡大はこれら周辺法律資格業の方の悲願ではありますからね。
私がこの漫画に批判的なのは、この漫画に「弁護士業務的なことを行う周辺法律職」の方の弊害が見事に現れているからですが、この点についてはそのうち特集を組みたいと考えています。
毎日出張ネタですが。
本当に出張が続いているもので、私宛にかかってきた電話にもなかなか応答できない状態が続いています。
本日は、朝10時に横浜で法廷です。
横浜地方裁判所の庁舎は長らく工事中で、仮庁舎は今にも崩れ落ちそうな古い建物(2回の廊下など波打っていました!)と、プレハブの建物に別れて2カ所が使われており、不便この上ないものでした。
しかしながら、7月半ばにようやく新庁舎が完成し、今日は私にとって完成後初めて新庁舎とお目見えです。
その新庁舎は、歴史的建造物を復元したそうで、正面から見ると写真のとおり結構古くさく見えます。
しかし中身はさすがに最新の建物という感じで明るいベージュを基調としたインテリアでした。ただ、最新の設計の割に、相変わらず待合室が狭苦しく、不便なのはいただけませんね。まだ裁判所は、お客さんの方を向いた設計ができていない感じです。
で、私の事件、私の事件、と………あれれ、ない?
不審に思って書記官室に行くと、な、何とてっきり10時からと思っていた事件は実は今日の1時からであることが判明。
がーん。私が手帳に書くときに間違えたのでしょう。数年ぶりにやっちまった。
おまけにこの日は午後には東京地裁で別の事件が入っています。まあ、横浜の事件はほかの事務所の先輩弁護士と一緒にやっている事件だったので、その事務所にとりあえず電話をして、平謝り。本日は先輩だけ出頭してもらいました。とほほ。
全然違う話題ですが。
http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/20010829/gw2k.htm
発表即日でショップもHPも閉鎖してしまうという、外資の王道を行くような徹底したスピード主義にはビックリ。
GATEWAYといえば「3年連続サポートNO.1」というキャッチフレーズで売っていたパソコン会社だったのに、寝耳に水の日本撤退というのは、いくらサポートを続けるといっても企業イメージにあまりにも損失ではないですかね。それよりも心配なのが、700人の日本の従業員はどうするんでしょう。労働事件になっちゃうような気がしますが。
またまた出張ネタです。
本日は、午後4時の法廷に出頭するため水戸地方裁判所土浦支部に行って来ました。写真をご覧のとおり、松の木が妙に立派なひなびた裁判所です(植栽の手入れに費用がかかってんだろうなー)。
ここの裁判官は、裁判官にしては珍しく直接自分で電話をかけてきたりして、親しみの持てる方なのですが、惜しむらくはどうも定時に事件が始まらないことが多い。前の事件が長引いてしまうのですね。
本日も午後4時の予定なのに、待てど暮らせど始まりません。
その間、私は裁判所の廊下のソファで待ってるしかないわけですが、相手方の弁護士は地元の方で、書記官室に「弁護士控え室にいるから呼んでくれ」と言い残して去っていきました。
地方の裁判所の「弁護士控え室」………それは、弁護士なら誰でも入れるというところではありません。私のようなよそ者の弁護士には敷居の高い、地元の弁護士のたまり場なのです。さらに地方の裁判所になると、「弁護士控え室」に弁護士会の職員がいて、事実上弁護士会の事務局兼談話室になっていたりします。
地元の弁護士は、裁判所に来ると書記官室に声をかけて、後は弁護士控え室に籠もってお茶を飲んでいたり、将棋を指していたりできるわけですね。でもって、書記官も勝手知ったるもので、自分の事件が始まると控え室まで呼びに来てくれたりします。
まあ、別によそ者の弁護士が絶対に入っちゃいけない訳じゃないでしょうが、多分気まずい思いをすることになるでしょう。てなわけで、よそ者の私はひたすら冷房の効かない廊下で待ち続けるしかないわけです(私も司法修習先の盛岡地裁の弁護士控え室だけは勝手が分かっており、未だに堂々と使っております。とはいえ、遠方なので、滅多に盛岡に事件で行くことはありません)。
逆に地方の弁護士にしてみれば、東京に出張した際に東京弁護士会の会員室を使うのは気まずいわけで、おあいこだとの反論もありそうですが、裁判所の中にくつろげる場所を持っている弁護士にはかなわないよなあ、と考えているうちに、30分ほど遅れてようやく私の事件の番が来たのでした。
私の所属する東弁若手政策集団「法友全期会」(以下「全期」という)の仲間と一緒に、法務省に情報公開請求に行って参りました(右は請求後、法務省前での記念撮影。右端が私です)。
と、言うより、写真中央にいる横山渡弁護士が「情報公開請求に行くぞ!」と声をかけたのに賛同して、野次馬のごとくくっついていっただけですが。本来は全期の企画であって、私が個人的に報告するのもどうかとは思いますが、全期のHPは未だ一般公開されていないようですので、勝手に報告しちゃいます。
情報公開法は本年4月に施行されたばかりのため、まだ私も請求したことがありません。で、今回は大挙して、何を請求しに行ったかというと………
裁判で証人尋問を行った際には、証人尋問調書が作成されます。裁判官はこの調書を見ながら判決を書きますから、弁護士は証人尋問後に弁論を行う際には当然この調書を見ながら主張を考えなければなりません。
ところが、こうした訴訟書類をコピーするには、裁判所内にある「財団法人司法協会」というところを使わないといけないという運用になっております。この司法協会のコピー代が、なんと1枚50円前後というべらぼうな値段なのです。
街のコピー屋さんが一枚8円という時代に、この非常識な値段です。1枚ではたった42円の違いも、1000枚では4万円の違いになってしまいます。依頼者がお金を出してくれる事件はまだしも、刑事の国選事件などは、必ず謄写費用が出るとは限らず、出る場合でも事件終了後の後払いです。謄写費用がもったいなくて、記録のコピーをけちっている弁護士も多数いるはずです。
どこからこの費用の違いが出るのでしょうか?司法協会の人件費としても高すぎるように思われます。そこで、横山弁護士が「司法協会に関する収支の資料を情報公開請求で開示させよう!」とぶちあげ、日頃不満を鬱積させた若手弁護士が大挙して、本日午後3時に法務省に集結したのでした。
開示請求に対する法務省のお役人の対応は非常に丁寧、と言うか暇な主人がたまに来た一見の客をもてなすように扱っていただきました。さてさて、結果はいかに(開示されるかどうかは30日以内に決定されます)。
昨日まで神戸で行われていた日本水泳連盟主催の日本泳法大会に競技役員として参加していたため、日記がとぎれましたが、本日から弁護士業務と一緒に復活です。
と、言いながら私自身の業務とは何も関係ないのですが、週末に世間を騒がせたSMAPの稲垣吾郎氏(以下「I氏」という)の件について一言。別に私はSMAPのファンでも、ジャニーズの回し者でもI氏の弁護人でも何でもないので、報道に出てきた事実しか知りません。
報道された内容が全部真実として、事案を簡単に言うと「違法駐車をして買い物に行ったI氏が戻ってみると、ちょうど婦人警官が駐車禁止の取締中。違反切符を切られそうになったI氏はあわてて車に乗り込み婦人警官の制止を振り切って車を発進させ、立ちはだかった婦人警官に全治5日の傷害を負わせ、逮捕される」てな感じでしょうか。
単なる駐車違反で数万円の反則金(行政罰)ですむところが、逃げようとしたばかりに「道交法違反+公務執行妨害+傷害」で臭い飯を食う羽目になったわけで、身から出た錆とは言え、お気の毒に、という気もします。おまけに検察官に勾留請求までされ、裁判官が勾留請求を却下してようやく本日釈放されたそうですが、果たして彼はそこまで悪いことをしたのでしょうか?
刑事訴訟法上、逮捕には「犯罪を犯したという嫌疑+逃亡及び罪証隠滅を恐れ+必要性」という要件が必要と考えられています。悪いことをすれば必ず逮捕というわけではないのです。本件では、元々彼の犯した罪は駐車違反であって、迷惑とは言え、誰もがやってしまう可能性のある行為です。
まあ、現行犯ですから嫌疑は十分ですし、実際に逃げようとしたわけで逃亡の防止の必要性は肯定できなくはありませんが、だからといって元がこれだけ軽微な犯罪ですから、逮捕までする必要性があったかは多少疑問の余地があります。
何か「見せしめ」の匂いがしますね。
付け加わってしまった「公務執行妨害」も、一見重大な犯罪のようにも聞こえますが、要は有形力を行使してお巡りさんに逆らったら全て公務執行妨害といえなくもありませんから、後付の理屈です。「傷害」に至っては「全治5日」ですから、お医者に行かなければ勝手に直ってしまう程度のもので、普通は刑事事件になどならないものです。
まあ、警察官にも逆鱗はありますから、逮捕はあり得るとしましょう。2日後に検察官が勾留を請求する必要があったのでしょうか??
勾留は逮捕されてから3日以内に検察官が裁判官に被疑者の身柄の拘束を要求する制度で、認められれば10日間の身柄拘束が行われます。当然、「逮捕よりも高度の嫌疑+逃亡及び罪障隠滅の恐れ+より高度の必要性」が要求されます。
I氏の行った行為のうち、駐車違反はもはや罪障隠滅のしようがないですし、公務執行妨害や傷害も、被害者は警官ですから、証拠化は全て終わっているはずで、罪障隠滅の可能性はないに等しいでしょう。また、I氏のような有名人が身をくらますわけにはいきませんから、逃亡についても不可能でしょう。
結論から言えば、勾留請求を却下した裁判官は当然の判断をしたと思います。I氏の弁護人の奮闘もあったのでしょう。問題は、検察官の段階で勾留請求をすべきではなかったのではないか?ということです。
ここに「とにかく身柄を拘束してしまえ」という日本の刑事司法の悪癖が現れています。裁判官も、被疑者がI氏でなく、一般人であったら結構あっさり勾留を認めてしまったような気がします。マスコミも、I氏の不明を責めるばかりではなくて、もう少し冷静な観点から「そこまでする必要があったの?」という報道もあっていいのはないでしょうか?
先日、不毛な奈良出張の話をしましたが、近場であっても結構時間はかかる裁判所はあります。
首都圏でも下妻支部など交通の便の非常に悪い裁判所があるのですが、そこまで行かずとも、例えば八王子支部や千葉地裁でも結構1時間半程度の時間はかかってしまうため、新幹線で言えば仙台まで行けてしまうほどの時間をかけていることになります。
まあ、それでも内容がある裁判であれば文句も言いませんが、今日はひどかった。
もともと本日に和解が成立する見込みで、本日午後4時50分に和解期日を設定した事件だったのですが、ハードルが二つあり、第1のハードルは和解条件に相手方の会社の社内決裁が下りるかどうか、第2のハードルは当方の利害関係人が参加できるかどうかでした。前回時、相手方の社内決済のため当方の資料が必要だと言われたため、お盆前に資料を集めて送付しておきました。
1週間ほど前に相手方の代理人から電話があり「たぶん社内決裁できると思う」とのことだったのですが、その後待てど暮らせど「決裁が出た」という連絡はなし。業を煮やして相手方の代理人に連絡してみると「まだ会社から決裁が下りたという連絡がない」とのことでした。
そこで一昨日に裁判所に連絡して「期日を延期してくれないか」と言ったのですが、裁判所は「様子が分からないのでとにかく来てくれ」との一点張りで、やむなく行く羽目に。
そして本日相手方の代理人に法廷であったところ、「昨日会社に確認してみたら、担当者が「まだ書類が足りないので、決裁にあげてもいない」と言われた。うちの担当者から直接資料が足りない旨の連絡が来てないか」と言うのです。私のところにはなーんにも連絡など来てません。
これにはさすがに裁判官もおかんむりで、相手方代理人に「会社任せにせず、代理人からも連絡してやって下さい」と言っていましたが、もっと被害を受けたのは私です。「これこれの資料が足りない」と前もって連絡をもらっていれば、今日裁判所に行く必要などなかったのに………。
本日の朝日新聞の社説に興味深いことが書いてありました。
「経験を積み、能力のある弁護士を裁判官に登用する「弁護士任官」に、新たな意識と姿勢で取り組んでいこうという動きが、法曹界に広がっている。(中略)受け入れ側にも変化がある。最高裁は先に、一部の裁判手続きにパートタイム制の裁判官職を導入し、弁護士が業務を続けながら、同時に裁判官の仕事も引き受けられるようにする考えを打ち出した。」
私自身は最高裁がこのような方針を打ち出したのは初耳なのですが、パートタイム裁判官というのは、私も以前から導入を主張していた制度であり、基本的には大賛成です。
弁護士会の主張としては、理想はあくまで法曹一元(裁判官、検察官が弁護士の中から選任されること)でしょうが、現状では最高裁、法務省の根強い抵抗もあり、そこまで一気に改革するのは難しそうです。また、社説中でも触れられているように、いったん弁護士として事務所や顧客を抱えてしまうと、これを捨てて裁判官に任官するというのは相当勇気のあることで、なかなか強制できることではありません。アメリカのように、弁護士から裁判官になるのが当たり前で、しかも裁判官を経験したことが相当のステイタスになるという基盤ができあがってしまえば、そう問題はないのでしょうが、そこまで世の中が進むのには何十年か時間がかかるでしょう。
その点、パートタイムならば、弁護士業務の蓄積を全て犠牲にすることなく、裁判官になれますから、弁護士からの希望者も相当出ると思います。このパートタイム制度が行われるうちに、国民一般の弁護士任官に対する理解も深まるでしょうから、最終的な法曹一元への道筋も見えてくるのではないでしょうか。
気になるのは最高裁が今まで反対していたパートタイム裁判官を一転して容認するに至った動機です。私の見るところでは、最高裁は逆に、パートタイム裁判官を導入すると言うことで現状のキャリア裁判官(司法修習終了後に一斉に任官し、年功序列で昇進していくシステム)を維持しようとしているのではないかと思われます。ま、同床異夢でも、国民のためになることであれば、どんどんやったらいいのではないでしょうか。
2日前にアップした「サラ金CMランキング」ですが、ワースト1位に輝いたレイクのCMについて、私の誤解ではないか?という指摘がありました。
その方によると、「あのCMは、奥さんがレイクから金を借りてくるシーンはない。かえって、一度スタンバイしかけたレイクの基地(?)が、奥さんが「へそくり!」といった後にしぼんでいるところをみると、あの「へそくり」は本当のへそくりで、実はしっかり者の奥さんのおかげでレイクに頼る必要がなかったという逆説的CMではないか?」ということです。
うむむ、なるほど、そう解釈できなくもありません。だとすれば、健全なやりくりを推奨するという意味ではサラ金にあるまじき健全なCMだということになります。
しかし、私の周りでは全ての人が、あの「へそくり」はレイクから借りて生きたお金だと信じています。むむ、実はこのような誤解を生ませることこそ、レイクの狙いだったりして。
いずれにせよ、誤解を招くという意味ではやはりレイクのCMは問題なしとしないでしょう。もっとあけすけにギャグで落としてくれていれば、人畜無害ですが。
裁判所で行う調停では、裁判官はあまり立ち会わず、普段は民間から選ばれた調停委員2名が調停を進めます。
この調停、調停委員が優れた方なら大変有用な制度なのですが、残念ながら調停委員もピンキリで、困った委員にあたるとどうしようもなくなってしまいます。
質の悪い調停委員とはどういうことか?一番あげられるのが、記録を読まない。当事者が提出した証拠はおろか、主張書面も読まずに勝手な意見を押しつける。これでは当事者は不満が募るばかりで、和解などできないでしょう。また、代理人から見て困るのが、理屈も何もなく、ただ人情論だけで譲歩を迫るタイプ。情理を尽くして説得しなければ、紛争は解決できないでしょう。
実はこの調停委員、かなりの割合で弁護士から選ばれています。しかし、弁護士だからといって説得上手な人が選ばれているわけでもなく、自薦が結構あります。また一度調停委員になるとあまり批判にさらされないためか、何時までも続けてしまうようで、風通しがよくありません。
先日、私の属している若手政策グループで話題になった話ですが、東京家庭裁判所の調停委員が勝手に、「調停の席上へのノートパソコンの持ち込み禁止」を決めたとか。理由は、「パソコンは何ができるかわからないので規制すべき」という恐ろしく非科学的なもので、これでは中世の魔女狩りと同じです。IT化の時代にここまで時代錯誤だと笑えてしまいますね。もちろん、その若手政策グループが禁止の撤回を求める意見書を出したことは言うまでもありませんが。
昨日のクレサラ法律相談の話のついでに、私の見た大手サラ金会社のCMのランキング(ワースト順)を書いておきましょう。
第5位 武富士
女性ダンサーが多数、レオタード姿で踊っているアレです。
業務内容とは何の関係もないものを一度作ったら延々と流し続ける(この前までのバージョンは多分2年くらいはやっていたと思います)根性は、さすが業界トップの余裕、腰が据わっているというか、何というか。まあ、多少セクハラ気味の部分はあるにせよ、業務と関係がないのでケチのつけようもありません。
第4位 プロミス
「黄色い看板、プロミス」のかけ声のアレです。
脳天気姫とバカ家老の掛け合いは正直言って全然おもしろくないですが、まあ顰蹙なほどの内容でもないですね。
第3位 アコム
「はっじっめってのアコム、はじめてのむじんくん」のアレです。
このCMは常に新しい顧客を必要とする貸金業の本性を如実に現す秀作といえましょう。新規顧客にはいい顔をし、つきあいが長くなればなるほど(破綻の危険が高くなるため)冷たくなるというのが貸金業者です。
第2位 アイフル
「アッイフルユー」というアレです。
女性社員が出てきて、「アイフルは、恋人のように、あなたの親身になって」云々という奴ですね。冗談じゃない、恋人が利息を取るかっつーの。最初に見たときは吹き出しそうになりました。
第1位 レイク
これまで、ジーコのサッカー教室のタイアップ路線や、「レ」「イ」「ク」の3人人文字女モデルでイメージ路線を歩んできたレイクですが、最新作で並み居る強豪を押さえ、私の中ではワーストワンに輝きました。
「海外旅行行きたいなア」「余裕ないだろ、余裕が」(レイクで借りてくる)「ハイ、へそくり!」
………おいおい、へそくりってそれ借金だろ!
正直言ってこのCMは借金による浪費を推奨しているようにしか思えない問題作です。レイクには、浪費によって破産申立をした債務者の免責に異議を出す資格なしといえましょう。
日弁連はこうしたたわけたCMを規制するべく立法を行うよう運動すべきでしょう。テレビ局も、社民党の選挙CMにけちをつけている暇があったら、このCMを断るくらいの矜持を見せて欲しいものです。
破産の宣告を受けただけでは借金は棒引きになりません。債務の支払義務を免除されるには、破産手続終了後、免責の申し立てをして(最近は破産申立と同時に申立ができます)、裁判所から免責決定を得ることが必要です。
免責手続きは通常、裁判所による債務者の審尋を経て、裁判所が判断します。審尋手続は、裁判所によっては、「集団進行方式」といって、同時に多数の債務者を法廷に入れて、裁判官がお説教をして終わり、というものもあります。
しかし、審尋期日には債権者も出頭して意見を述べることができますので、債権者が出頭した場合には集団とは別に個別に行われることになります。
免責審尋から1ヶ月間の間を「異議申立期間」といい、免責に異議のある債権者はこの期間内に異議を申し立てないといけません。期間内に債権者から異議が出ないときには、裁判所が期間経過後に免責を認めるかどうかの結論を出すことになります。
債権者から異議が出され、その異議に破産法所定の理由があるときには裁判所は免責決定についてさらに双方の反論を聞くなどしますので、結論が出るのは遅れます。
免責決定を得るには「誠実な債務者」であることが必要です。免責決定を得るのに問題となるのは、
・生年月日を偽る、他人名義で借り入れをするなど詐欺的な行為を行っている場合
・借り入れたお金をギャンブルなど浪費に使用している場合。
・支払い不能状態になってから、特定の債権者にだけ返済している場合
などです。しかし、このような場合でも「問題となる事情を裁判所に自分から正直に申告した」場合には、その点の誠実さを買って裁量による免責決定は可能です。
今日は土曜日というのに、クレサラ(「クレジット・サラ金」のことを弁護士会ではこう略す)法律相談の当番日にあたっていて、午前中四谷のクレサラ法律相談センターに行って来ました。このセンターに来所する相談者はほとんどが多重債務者(多くの貸金業者から借金をしている人)で、相談担当弁護士はそれらの人達の相談を受け、債務整理のお手伝いをするのがお役目です(多重債務者の方へのアドバイスはそのうちこのページ上でも大々的に取り上げる予定ですが、とりあえず東京弁護士会のページを見てください)
最近、私の所属する若手弁護士中心のメーリングリスト上で話題になったことですが、ある弁護士が「このような債務整理事件の依頼者は、たいてい弁護士報酬を分割でもらうことになるが、最後まで払ってくれることは3割くらいしかいない。弁護士にとっては労多くして益少ないボランティアになってしまっている」と嘆いておりました。
私自身の経験から言えば、3割というのはちょっと低すぎるように感じます。少なくとも私の依頼者は7割くらいは分割であっても最後まで支払ってくれています。最初に依頼者によく心構えを説明し、連絡を密に取っていれば、それなりに誠実に頑張ってくれる方も多いです。
しかしながら、それでも3割くらいの方は問題があるのも事実です。
私の経験では、「今日支払日で取り立てに追われてしまう」と泣きつかれて、同情して着手金を1銭ももらわないうちに受任通知(弁護士が代理人に就任した旨の通知)を出してあげたのに、その後全く連絡が付かなくなり、やむを得ず恥を忍んで辞任せざるを得なくなったことが2度ほどありました。相談者にとっては、当面の債権者の取り立てさえ止まれば安心してどうでも良くなってしまうのでしょうか。
しかたなく、「着手金の一部として、原則最低3万円を支払わない限り、受任通知は出せませんよ」と言うことにしました。3万円程度であれば、収入のある方ならば何とかできるはずの金額ですし、多少の痛みを分担してもらうことにより、依頼者の方の自覚も深まると思われます。
本日も心を鬼にして「最低3万円」と念仏のように繰り返し言っていましたが、恨まれてしまったでしょうか。でも、3万円すら用意できないようでは債務整理はそもそも実現可能性はないですよね。そこをわかって欲しいものです。
またまた昨日の続きです。
私の出張中に起動不能に陥った98デスクトップですが、帰ってから調べてみると、HDDのデータ自体は残っていそうでした。ただ、レジストリが行かれたのか何だか分かりませんが、起動しないのです。運良く起動してもセーフモードでした。
パワーユーザーならここで腕まくりをしてレジストリでもいじり始めるのでしょうが、とにかくまず、完全に壊れる前にデータの救出です。
幸いにして、換装前の古いHDDは残っています。これをIDEケーブルのMaster、新しい(起動不能になった)HDDをSlaveにつないで起動してみると、何のことはない、半年前のデスクトップ画面が立ち上がりました。新しいHDDもちゃんと見えてます。よしよし。
ここからがトホホなのですが、なんせLANもなければ大容量ドライブもつながらない状態です。フロッピーディスクだけでデータを救出するのはいくら何でも地獄です。事務局が暴動を起こすでしょう。こんなことで労働争議は辞めたい。。。
結局私が考えたのは、手持ちのデジカメ用の32MBのスマートメディアを利用することで、これのFD用アダプタ(FLASHPATH)を買ってきて、デスクトップからデータを吸い出し、ノートの方にPCカード用アダプタ(これは持ってました)で移す、という作業でした。
まあ、クリーンインストールでもすれば多分98も生き返ったんでしょうが、私も時代遅れになってしまった98への愛着も消え果て、由岐に「壊れたから買い換えましょう!」と持ちかけて新しいマシンを買うことにしてしまいました。(続く)
パソコンの話ばかりで恐縮ですが、本日は米沢に出張に行きました。米沢ももう何回も行っていて、あまり感慨もありませんが、山形新幹線というのはほとんど在来線の線路に無理矢理新幹線を走らせた路線なので、いろいろおもしろい発見があります。
福島から米沢までの峠越えの途中に何カ所か昔のスイッチバックの線路の遺構があったり(これは車内放送でも聴けます。デジカメで遺構を撮影しようとしましたが、失敗しました)。
今日気づいたのは、米沢駅で上下の新幹線がすれ違う際に、なぜか車両が右側通行になっていること(普通は左ですよねえ)。なぜなんでしょうか?
昨日の続きです。
長らくパソコンからは逃げ回っていた由岐ですが、99年の秋ころになると、他の弁護士からいろいろ聞きつけてくるのか「モバイルってかっこいいらしいな」とか「e-mailって便利なのか?」とか言いだし、サブノートを欲しがったので、これ幸いとばかり、私の趣味でThinkPad240を買わせてしまいました。使いの荒い(というかすぐ壊す)由岐のこと、と思って事務局に指示をして買ったその日にEMS(拡張保守サービス、保険のようなものです)に加入しておいたのですが、案の定というか、買ってわずか3日目に「電車の中で落とした」ということで、本体の側面にひびが入ってしまい、すぐさま入院ということに。事務局が私の予言能力に刮目したのは言うまでもありません。
そうこうするうち、私も徐々にスキルを高め、ノートパソコンのHDDの換装くらいなら簡単にできるようになりました。事務所のデスクトップも当初の3GBという容量が苦しくなりつつあったので、換装を試みようと思い立ちました。
しかし、前述のように事務所のデスクトップは今は亡きNECの98シリーズ。。。もはやサポートも打ち切り同然で、4GB以上のHDDにもUltraDMAにも未対応。そこで「98シリーズでもUltraDMAに対応!大容量HDDも使える!」サードパーティのPCIスロットに挿すHDDアダプタを買ってきて13GBのHDDへの換装を試みました。
2000年のGW中に休日出勤して換装を試みたのですが、HDDの認識とデータのコピーまでは成功したものの、なぜかアダプタ経由では正常に起動せず、アダプタ抜きでいきなりIDEケーブルに挿すと起動したので、UltraDMAではないが、まあこれでいいやと思い使っていました。
ところが、同年11月ころ、私が米沢に出張中に事務局から悲痛な電話が………「壊れちゃったみたいで起動しないんです!」
(お盆明けで仕事も忙しいのですが、間近に迫った日本泳法大会のため、4日連続泳いでいて疲労の限界です。なので、続きはまた次回に)
2日前の続きです。
由岐・豊崎法律事務所は、4年前に現在の場所に開設したのですが(開設当初は「由岐法律事務所」でした)、開設前の由岐は前の事務所で、10年は前のものと思われるビンテージ物(?)のデスクトップワープロを使っていました。これは画面のスクロールすらしないというすごい機能の持ち主で(つまり1ページ打ち終わると全画面が切り替わってしまう)、「どんなワープロ文書の文書も変換!」を謳うファイルコンバータソフトのリストにすら載っていない代物でした。由岐は名残惜しそうでしたが、事務所移転を口実に処分してもらったのは言うまでもありません。
移転直後の事務所には、当時私の使っていたThinkPad560(2640-FJE)と急遽買ったプリンタ(EPSONのLP-8300)と、RICOHのコピー・ファクス兼用機、これも移転前に買った東芝のノートパソコンがあるだけで、私以外はワープロを使っていました。その後、1ヶ月ほどしてNECのデスクトップ(PC9821V200)とノート(PC9821NW150)を買い、ノートを由岐が、デスクトップを事務局が使っていました。LANなどは遠いまた夢、インターネットにつながったのが97年の暮れころでしたが、事務局にバイトできていた子の友達のオタク青年にセットアップを頼んだため、その後他の人が設定を調整できなくなり難儀しました。うかつに他人に頼むもんじゃありませんね。
このころはまだ私自身も自分でインターネットへの接続も満足にできなかった時代で、なかなかIT化も進みませんでした。事務局に一人そういうことに興味のある人がいれば違ったかも知れませんでしたが、なかなかそうもいかず、由岐もノートを持っているだけでほとんどパソコンを使わない(たまに麻雀や上海をやるくらい)の日々が続きました(以下後日へ続く)。
今日はお盆中だというのに郵便局の無料法律相談に行って来ました。お盆中だというのにしっかり相談者の予約は入っていて、しっかり3件相談を受けることになりました。
無料相談は、敷居が低いせいかいろいろな相談者が訪れます。敷居が低いこと自体はいいことなのでしょうが、ほとんど法律相談とは思えないような相談も一定数来てしまうのが悩みの種ですかね。人生相談のようなものも来ます。
今までで一番困ったのは、私が「どのようなご相談ですか?」と聞いたら、「ここでは言えません」(!!)と答えた相談者の時です。「ここでは言えません。私の家に来てください」「そういわれても、ここでお話を伺うのが決まりですので………」という押し問答が続いて15分。仕方なく、雑談をしながら何とか話題に入ろうとするうち、どうやら相続がらみらしいということまで分かったときにはもはや制限時間の30分に達していました。。。
もう一つ、この手の無料相談で困るのは「自分が直接事件を引き受けられない」ということ。相談者が希望すれば自分が引き受けることを前提とすれば、かなりつっこんだアドバイスもできますし、相談者の最大の関心事であると言っても過言ではない「弁護士報酬」についても自分なりの見解を披露できるのですが、自分が引き受けるわけではないことを前提とする限り、アドバイスの内容もあまり具体的にできませんし、弁護士報酬の点も一般論を述べるにとどまらざるを得ません。そういう意味から言うと、無料相談であっても、原則は相談担当弁護士が事件を引き受けることにした方が、相談者のためになるような気がするのですが。
8月9日の続きです。
世間のご多分にもれず、弁護士も現在はノートパソコンといえばVAIO一色です。特に私の知っている若手でノートパソコンをよく持ち歩く先生方は8割くらいVAIOですね。機種は一時は505系が全盛でしたが、最近はC1系が多いようです。確かにC1くらいの大きさだと鞄に入りやすい(分厚い事件記録を入れた余白のスペースに押し込められる)というメリットはあると思います。SR系はあまり見かけません。R505系も見ませんね。全体に弁護士は小さなマシンを好むという傾向があるようです。
しかしながら、私はVAIOには懐疑的です。まあ、だいたいThinkPad派はVAIOには懐疑的なのですが(この辺の詳細を知りたい方は私の愛読するThinkPad資料館へどうぞ)。
まずVAIOは、常駐ソフト類が多すぎて最初からリソースが不足気味で動作が不安定、という点があります。まあ、ホビーでVAIOの常駐ソフトをがんがん使うという方なら必要悪ということになるのでしょうが、少なくとも弁護士業務には必要のないものばかりではないでしょうか。
また、前述のように確かにC1系の小ささと画面、キーピッチを両立させたパッケージにはかなり惹かれるのですが、実際にはオプションの大型バッテリーをつけないと、電池がろくに持たない点が難点です。私の知っているC1使いの弁護士は、結局皆大型バッテリーをつけて使っています。そうすると、せっかくの軽さと小ささがかなりスポイルされてしまうのではないでしょうか。
というわけで、私はどうしてもVAIOにはなじめず、ThinkPadを使っております。というより、VAIOが出る前からThinkPadになじんでしまったため、今更乗り換えられないだけなのかも知れませんが。
現在は昨年暮れに買ったX20(2662-34J)を事務所及び外出先で業務用に、一昨年暮れに買った600E(2645-5BJ)を自宅で残業及びホビー用に使用しております。
さらに事務所内も(所長の由岐や事務局があまり機種に興味がないのをいいことに)着々とThinkPad化が進んでおり、現在由岐が無印240(2609-21J)、事務局の3人がそれぞれ無印560(2640-FJE)(私のお古でほとんどジャンク)、A20m(2628-31J)、T21(2647-4AJ)を使用しており、後は榎本弁護士が使っているメビウスを駆逐すれば完全制覇!。
本日もお盆というのになぜか1日仕事があり、その後辰巳で泳いで帰ってきましたのでそろそろ限界です。なぜこんなことになっているのかは、また明日にしましょう。
今日はお盆の真っ最中だというのに、我が事務所の弁護士3人が一堂に会して昼間から合宿状態でした。
とある上告提起事件について、上告理由を何とか書き上げなければならないのです。
しかしながら、控訴審の判決の読み方一つを巡っても、個々の思いこみがあったりしてなかなか議論がかみ合わず、さながら司法試験受験生の勉強会状態。
特に判決の理屈に微妙に絡む不当利得の理解の仕方を巡って、それぞれの弁護士が前提とする理論がかなり違っているため、この点について甲論乙駁している間に2時間くらい経ってしまいました。ああ、受験生時代にもっと民法を勉強しておけば良かった。
けれどもだんだん双方の議論が落ち着いてきて、再び控訴審の判決文の検討に入ると、全員の結論は一つ、「何だ、裁判官も思いこみで書いてるじゃないか!」。
総論の部分ではけっこういろいろな理屈付けをしているのですが、よくよく読むと各論での個々の結論と全く整合性がなく、ひどい場合は全く理由もなかったりする部分もあるのです。総論を書くのに疲れちゃったのかな?
というわけで、総論もさることながら、各論のあてはめを攻撃すべきだという結論では一致しましたが、さてさてどうなることやら。
今日は業務と全然関係ない話ですが。
第3巻の「アズカバンの囚人」を読み終えました。
第1巻のころには「指輪物語に学園ドラマをくっつけただけ」といった酷評もみられたハリポタシリーズですが、巻を重ねることに完成度が高まっているのはさすがです。
もともとリンドグレーンとかの児童小説ものが好きだったので、ハリポタものもそれなりに抵抗なく読めたのですが、最初は舞台設定に時間がかかりすぎる割に話自体はたいしたことないなあ、という印象でした。けれども第3巻まで来て、ちゃんと第1巻の話が伏線になっているストーリー展開が分かってきたのがうれしいですね。栗本薫の「グイン・サーガ」を75巻までつきあってきて、最近の融通無碍な展開(いったいアストリアスはどこ行っちゃったんだい?)に呆れていた私としては、ハリポタには是非有終の美を飾って欲しいです。
今日は嫁さんと東京湾花火大会に行ったのですが、穴場として確保したポイントが完全な風下で、花火が煙に隠れてほとんど見えない始末。花火が煙で見えないと言うのは初めての経験でした。
わずか2日前から始めたこの日誌欄のアップですが、連日アップするたびにレイアウトがおかしくなったりリンク切れが発生したりして苦労しています。ホームページ作成に関してはまだまだ初心者ですのでご容赦いただきたいのですが、単なる趣味ページではないので開き直るわけにも行きませんね。
さて、本日は朝一番で、東京簡易裁判所での商工ファンド相手の特定調停に出席しました。
聞くところによると、東京簡裁に商工ファンド相手の特定調停は多数起こされているのですが、調停が成立したのはまだ1件しかないとのこと。原因は商工ファンドが「利息制限法による引き直し計算」に応じないためです。
一昨年の日栄の「腎臓売れ」事件以来、商工ローン業界1位の日栄は多少紳士的になりましたが、業界2位の商工ファンドは昨年秋から逆に強硬化しています。
何でも利息制限法引き直しの是非を巡って、最高裁で争っている事件があるそうで、この判決が出るまでは商工ファンドも引かないだろうとのこと。
利息制限法引き直し計算は、特定調停の要ともいうべき方法なので、これに応じない商工ファンドに対しては裁判官も相当いらだっているようですが、しばらくは平行線のようです。訴訟になると引き直しに応じて和解しちゃう例もあるんですけどね。
本日は初めて弁護士らしい(?)日誌でした
特定調停というのは、従前「債務弁済協定を求める調停」と言う名で運用されていたものが正式に立法化されて、昨年4月から施行されている制度です。簡単に言えば、借金が支払えない人が調停制度を利用して、支払い可能な返済条件の設定を求めるためのものです。
債務者にとっての重要なメリットは、裁判所の調停委員が債権者に対し、ある程度強力に「利息制限法引き直し計算」による元本の事実上のカットを要請してくれることです。
もちろん弁護士から見ると任意整理でも同じようにサラ金業者には引き直し計算を求めているため、敢えて特定調停を求める意味はあまりありませんが、訴訟行為の代理人を行えない司法書士が債務整理の相談を受けた場合に(これ自体問題がないとは言えませんが)、特定調停の本人申立を勧める場合があるようです。
また、立法趣旨からすると、多数の債権者を相手に特定調停を起こした場合、相手方である債権者を一堂に集めて手続を同時進行させることで、債務者の便宜を図ることも考えられているのですが、東京簡易裁判所ではなぜかあまり同時進行を行ってくれず、一債権者一期日を原則にしておりますので、この意味でも弁護士にとっては使いにくい制度です。
貸金の利息の上限については、利息制限法という法律により、
・元本が10万円未満は年率20%以内
・10万円以上100万円未満は年率18%以内
・100万円以上は年率15%以内
と定められています。
しかし、現実の多くの消費者金融(サラ金)業者の貸付金利は年率25~29%程度で、利息制限法を上回る利息を平然と取っているのが実情です。
なぜこんなことがまかり通るのか?
実は日本にはもう一つ、貸金業規制法という法律があり、こちらの法律の上限金利は年率29.2%とされているのです(ついこの前までは年率40%でした)。サラ金業者はこちらの法律に従って、一見「合法的」に貸し付けているわけです。
しかし、貸金業法による高金利の利息の請求が許されるためには、
・登録業者であること
・個々の貸し付けの際に所定の事項が記載された書面を毎回交付すること
・個々の返済の度ごとに所定の事項が記載された書面を毎回交付すること
等の条件が揃っていることが必要です。
現在、大手サラ金の貸し付けや返済のほとんどは無人式機械端末で行われており、ここで交付されるレシート類は所定の事項を厳密には記載していないものがほとんどです。
従って、厳密に言うと、ほとんどのサラ金は18%以上の金利を取る条件を満たしていないにもかかわらず、約定の高金利を取っていることになります。
弁護士が債務整理をする場合には、この点に着目し、まず債権者に対し、当初からの全ての取引の開示を求めます。その上で、利息制限法による引き直し計算を行います。
例えば、約定の金利を25%とする債権者のある回の取引で、債務者が1万円を返済したところ、債権者がそのうち
・5000円を25%分の利息として充当し、
・残り5000円を元金の返済として処理していたとします。
この場合、利息制限法上は18%の金利しか認められないわけですから、
・本当に許される利息分は3600円であるはずです。
・つまりこの回の返済では、実は6400円が元金に充当されるべきであるという計算になります。
すると次回の返済時には、利息計算の根拠となる元金残高自体が1400円分減るため、さらに発生利息も減っていきます。つまり、取引が長ければ長いほど、計算上の元金は減っていくのです。仮に5年以上も取引があった場合、かなりの可能性で残高は半分以下になっていると見ていいでしょう。
弁護士はこの計算結果に基づいた残高を基本に債権者と和解交渉をするわけです。
一昨日あたりから事務所の無線LANからインターネットに接続することができなくなり、とうとう再インストールするはめになりました。
法律事務所のLAN化は徐々に進んでいるようですが、業者に頼む例が多いようです。しかし我が事務所では私が素人知識で無線LANを組んでしまったため、トラブった時は私がにわか管理者となって苦労する羽目になります。今回も昨日、奈良から帰ってから悪戦苦闘したのですが、らちがあかないので本日事務局の女性に再インストールを頼みました。再インストールすると直るのが不思議ですが、直ったからまあいいことにしましょう。
弁護士という業界は、たぶん最もIT化が遅れている業界の一つだと思います。なにしろ、まだファクスが設置されていない!!!事務所もあるとか。どうやって業務を行っているのでしょうか?
その一方で、オタクも一定割合はいるようで、結構まめにノートパソコンやPDAを買い換える弁護士も見受けられます。弁護士はなまじ小金を持っているせいか、トレンドに乗る人が多いようで、4,5年前はDECのHighNoteUltraを持っている人が結構いました(その人達は大部分VAIOに乗り換えてしまいましたが)。私自身はThinkPad使いなのですが、この件については日を改めて述べたいと思います。
本日は仕事後、辰巳国際水泳場に泳ぎに行こうと思っていたのですが、打ち合わせが長引いてしまい行けませんでした。運動不足解消に失敗し、ブルーな気分で日誌を書いております。
7月中旬にHPを仮公開し、暑中見舞いにもアドレスを書いてしまったのに、1ヶ月近くほったらかしてしまいましたが、「8月から本格化予定」と公約したため、何とか始めたいと思います。実は今までのページは後輩に頼んでボランティアで作ってもらったもので、私自身は原稿を書いただけです。自分自身でページを作成するのは今日が最初ですので、ちゃんと表示されるのかちょっと不安ですね。まだなーんにもないページでしたが、とりあえず練習の意味で業務日誌から。徐々に内容のあるHPにしていきたいと思います。
さて、本日は事件で奈良地裁まで出張に行ってきました。関西方面の土地勘が全くないため、京都までの新幹線はいいとして、京都から近鉄の特急の指定席を取ったのですが、これが500円も取られる割に普通列車とほとんど速さが変わらないと言う意味のない代物で閉口しました。関東の私鉄であんな遅い特急は見たことがないぞ。おまけにどこぞの少年野球チームのような一行に同乗する羽目になってしまい、社内は貸し切りバス状態。帰りは普通乗車券で乗れる快速急行に乗って帰ってきたのは言うまでもありません。
この奈良の裁判ですが、被告が10数社という一見大事件なのですが、実際には被告の一社以外は無理矢理事件に巻き込まれた色合いの強い事件です。しかも被告の半分以上が東京の会社ですので、どう考えても東京でやるべきだろうと考え、移送の申立をしているのですが、今までのところ裁判所の反応は芳しくないのが実情です。裁判所にはテレビ会議システムという鳴り物入りの設備もあるのですが、これがどこか1カ所としかつながらないと言う前時代的なもので、本日は金沢の裁判所に出頭した被告代理人のために使われてしまい、東京の代理人達はたった15分程度の裁判のために往復7時間と3万円の交通費を費やされました。司法改革が叫ばれていますが、まずこうした身近な無駄を何とかして欲しいものです。